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第69話
アンドレイの部屋に辿り着くと、寝所には既にいつでも寝られるように寝床が整えられていた。ルイが、城を出発する際に侍女に寝台を設えておくように命じておいたのだ。
「王様、さぞお疲れになったことでしょう。十分にお休みください」
「いや、そなたの顔を見たら疲れなど吹き飛んだ」
その通りだ。少なくとも、あの時のルイの登場で心はどれだけ救われたか分からない。この高揚した心に比例するように、体まで軽くなった様な気もしたものだ。
「それは嬉しいですね」
ルイは本当に心から嬉しそうな顔をした。そして、アンドレイを慈しむような顔をして額に口付けを落とす。
「ですが、どうかお休みになってくださいませ。お願いいたします」
ルイに懇願されたので、アンドレイは「分かった」と言い寝台に横になった。
「クラウド王に相当に酷い扱いを受けたようではないですか。私は許せません。大事な王様を……私の命よりも大事で愛おしい王様を監禁していたぶるなど……本当はクラウド王を殺したかったくらいです」
ルイは今度はギリギリと歯噛みをした。
「すまなかった。連れ去られたのは、私も不注意だったのだ。情けない王だ、全く。だが、復讐などと考えるな」
「えぇ……」
「そなたに何かあったら、今度は私が生きていけぬからな」
寝台の横で片膝を立てている、ルイの長い髪に手を伸ばしアンドレイは梳いた。
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