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プロローグ
─────「皆さんご存知の大人気2次元アイドルである、アニメのCREAMIII(クリームスリー)が今年、3周年になりました。そして、3周年記念として、東京ではグッズ売り場が開かれています!皆さん―――」
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「美羽姉、もういい?」
「まだ!まだ、もうちょっと待って!こっち向いて、己継」
「うん」
僕、鈴原 己継(すずはら みつぐ)高校1年生の僕は、今日のために2つ上の姉、美羽姉に女の子の服を着せられている。そして、茶髪のツインテールのカツラを被せられて、ピンク色のフリルなミニスカートに肩がふんわりと膨らんでいて、ピンク色の大きなリボンが付いているブラウス。頭にはピンク色の大きなリボンの付いているカチューシャ。足は後ろにリボンの付いてある、これまたピンク色の短めの靴下。
そう、この格好はいわゆる、女子に人気な量産型と言う格好。主にオタク女子が着ている格好。
「全部、己継のためなんだからね!己継は、CREAMIII(クリームスリー)のしのくんが好きなんでしょ。しのくんが好きなら、こんなこともしないとね!」
と美羽姉は言って、僕の肩をパシパシッと叩いた。
「美羽姉…。うん!ありがとう。これで僕、行けるね」
「うん!己継かわいいよ〜」
と美羽姉はにこにこして言って、しの様の缶バッチがたくさん付いている、大きめな白色の肩掛けのトートバックショルダーを僕に手渡した。これもまた可愛いカバンだ。僕の宝物のカバン。不器用にしか愛せない僕のために、美羽姉が作ってくれたカバン。
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僕はバッチリと決めた女装で、都内に向かうため電車に乗り込んだ。CREAMIII(クリームスリー)が3周年記念でグッズを買うために。そう、僕は2次元アイドルのCREAMIIIと言うグループのしのくんことしの様を推している男子。限界オタクと言う奴だ。学校の友達には、自分がCREAMIIIのしの様が好きという事は明かしていない。ましてや、CREAMIIIを好きな子もいない。女子に人気なCREAMIIIだけれど、僕は女子にも伝えていない。まず、関われない。姉である、美羽姉しか関われないんだ。
だから、同級生にバレないように女装してグッズを買うんだ。これは美羽姉の提案。僕は女装が好きだったりもする。男のくせに背の低くて、色白な僕には似合う格好。それに、小さい頃から、美羽姉に着せられていたし、もう慣れているんだ。靴は履きなれた白のスニーカーだけど。
ガタガタと動く電車が停車した。そして、僕は開いたドア目掛けて、勢いよく飛び出した。
ーそう、都内である、東京に着いたんだ。
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