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第3話
「はぁ……、まじか。あいつ女装癖あんのか。てかあのキャラが好きって……」
惟久は己継の女装姿とグッズ持っていたことを思い浮かべ、顔を赤くしていた。そして、ベッドに座り込んだ。顔を右手で覆い、欲情していた。
「……俺、どうしよう。…てかっ、あのキャラの声……。う''あ''あ''あ''ーーー」
「うるさいぞ、惟久。いつも無口なのに今日はどうしたんだよ」
と惟久の部屋のドアをガチャと開けたのは惟久の兄の#惟路__これみち__#だった。惟路はオレンジ柄の身体にしては小さめなエプロンを付けている。
「兄貴の女のエプロン姿は吐くわ。可愛くない……」
「なんだとー!惟久、ひどいな。今日はお父さんもお母さんもラブラブデートしてて家のこと俺が任されてるんだからしょうがないだろー」
惟路は持っているおたまをブンブンと振り、怒っているを表明した。だが、惟久には伝わらなかった。惟久は猫みたいにツンとした表情を向けて言った。
「んー、っるせー」
「はぁ、まったく。惟久は…」
惟路は嘆息した。だが、いいことを思いつたと言うかのように目をキラキラと輝かせ言った。
「ふっふっー!惟久っ!なら、ボー〇ズラブの方にも兄ちゃんが惟久を入れちゃうゾっ!」
「やめろ……」
「えー、惟久ならきっとたくさんの女の子がつくよー」
「もういい、女は……」
惟路の言葉に惟久は疲れ切った様子で話した。
「でも、惟久、そこに出たらお金バンバン貰えるぞ」
惟路はマネーと指を丸くして見せた。惟久はそんな惟路を見て、少しばかり興味を示した。あることを思いついたからだった。
「女のファンがたくさんつくのはもう懲り懲りだけど、お金がそんなに貰えるのと、ボー〇ズラブならやってみるわ」
「やったーーー!兄ちゃんうれしいよ!惟久が弟で良かった!惟久が俺の弟だって表明するだけで俺の株も上がるんだ~」
と惟路は歓喜の顔を浮かべた。
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「おはようー、己継!」
「うあっ!」
親友の#凜人__りんと__#に己継は声をかけられ、驚き、机に両手で頬杖していたのをグラッと崩れた。
「凜人…おはよう」
「おいおい、そんなに驚くかよ」
「あははは、驚くよ!僕ビビりだからさ」
とそこに己継の前の席に座っていた#朔弥__さくや__#が振り向き、言った。
「まじ、己継ビビりだよ」
「そんなにビビりで大丈夫なのか?」
と凜人が言う。己継はブルブルと震えて見せた。
────ガラガラガラッ!
とドアが一気に開いた。びっくりして、ドアに振り向くと、片足で開けている神田惟久くんだった。
クラスみんなのざわめきがシーンと静まり返った。そして、己継は声を上げた。
「こ、惟久くん……」
「…………」
❀.*・゚
惟久くんが僕の方に歩いてくる。そして、惟久くんは僕すらも目にしないで、僕の隣りの席に座った。
「うおっ!まじか、己継の左隣りの席のやつって、惟久かよ……」
「うん、そうだよ」
僕は強ばる凜人にそう言った。優等生な朔弥に目を向けると惟久くんを睨んでいた。
「なに?俺になんか用?」
「別に、俺はお前になんか用はない。嫌いだ」
惟久くんと朔弥の間に何やらただ寄らない険悪感が2人から出ている。僕はそんな朔弥の姿を見るのは初めてだった。クラスの学級委員でもある朔弥は不良の惟久くんのことを敵視している。だらしがない制服姿の惟久くんが相当嫌いなんだ。
「もういい、俺やっぱ教室出るわ」
「惟久っ!学校に来て、教室に入ったんだから出ていくなっ!」
と朔弥は立ち上がった惟久に反抗するかのように立ち上がった。
「なんだよ、お前先生かよ。っるせーな!」
惟久くんもものすごい険悪感を出している。僕はそんな2人を見て、惟久くんに悲しげな目を向けた。すると、惟久くんとバチッと目が合った。
そして、惟久くんは僕の方へと歩いてくる。それを見た凜人は恐る恐る、後ろに下がる。
「お前は俺と一緒に来い……」
と僕に言って、僕の左腕をグイッと引っ張られた。
「……ぅっ!」
僕は声にならない声が出た。
やっぱり、こう来たか。
「おいっ!己継に触んな!」
「お前はうるさいって言ってるだろ。俺らの関係に入ってくんな」
「なっ!なんだと!木原先生に言うからな!」
と朔弥は怒気の声を張り上げるばかりだった。僕を惟久くんの腕から離すという助けてはしてくれなかった。
「どーぞ、先生に言っとけよ。そんなことでしかできないとかお前かっこ悪いな」
「……んだとっ!?お前、その言葉覚えとけよ!絶対、俺が己継を助けるからな!」
朔弥は言葉だけ助けると主張してくれた。
でも、やっぱり、惟久くんに掴まれてる僕を見送るだけだった。
あーーーーっ!僕、惟久くんに何されちゃうの!?
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