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第2話不良くんは同級生だった
「ごめんな。怖かっただろ?震えてる」
「…う、うん」
僕と金髪の男の子は大きな公園へと来た。僕は金髪の男の子の言葉に対して、怯えながらも応えた。
「ねぇ、君ってさ。そのキャラクター好きなの?」
「え、好き…だよ。しの様は僕の大切な人」
「ふーん、そうなんだ」
金髪の男の子の声は低くて、大人な色気を感じる。どことなく、しの様の声に似ているように聞こえた。気のせいかな…。
男の子にクイッと顎を上げられた。僕は恐る恐る、見つめた。すると、男の子はまじまじと見つめて言った。
「…可愛いな」
「…へ?……」
男の子は僕を優しく抱きしめる。男の子は、僕の頭を撫でた。そして、僕の頭を触って、グイッと親指を擦らした。すると、僕のカツラが外された。…いや、外れた。男の子の手に目を向けると、カツラをグッと持っている。僕は青ざめた。
「僕の…カツラが……」
「カツラ?…君、男?」
男の子は、僕の顔をまじまじと見て言った。僕は顔を赤らめて言った。
「う、うん。僕は男…です」
「てか、己継?お前、己継だろ?」
「え!何で僕の名前知ってるの!?」
男の子は、驚きながらも冷静に言った。僕の名前を。僕は驚き過ぎて、口に手をやってびびって聞いた。
「俺、己継と同じクラスの神田 惟久(かんだ これひさ)だよ」
「神田 惟久…?惟久くんなの」
「あぁ。ま、あまり学校行かないかなら知らないか…」
「し、知ってるよ」
惟久くんは学校の中でも先輩達に目をつけられているほどの不良の男の子。中学の時も、喧嘩は日常茶判事だったと噂されている子。
惟久くんは僕をじっと見て言った。
「お前さ、何で女装してんだよ?」
「そ、それは…。惟久くんには関係ない」
僕は惟久くんにプクッと頬を膨らませて怒って言った。
「そんな可愛いく女になってたら、危ねーよ」
「え……?何で危ないの。僕が女装するのは同級生にバレないように着てるんだよ!」
「バレないように着てるのか。ふーん、そうか」
と威嚇する僕に惟久くんは冷静な顔で、グイッと僕を引っ張って、僕の耳元に合わせて首を下げて囁いた。
「お前は俺のペットになるんだ。いいな」
「………ペット…?」
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「お前さ、その女装可愛い過ぎだからやめろよ」
「や、やだよ。惟久くんに止められたくない…」
「俺の言うことは全部聞けよ。俺のペットになったんだから」
僕は、またもプクーッと頬を膨らまして、惟久くんに威嚇した。
すると、惟久くんはニヤッと笑って、僕を引っ張る。連れて行かれた先は大きな木の下だった。
「え…、何なに、なになに!」
驚く僕を気にもしないで惟久くんは僕を木に押し寄せた。そして、惟久くんは僕の身体を触り始めた。後ろに腕を回して、僕のお尻を撫でる。前からは僕の頬を片手でグッとつままれている。そして、惟久くんは僕へと顔を近づけて来た。…近い。近くで見ると、惟久くんは色白で金髪の髪色が似合っていて、とてもカッコイイ。でも、不良なんだよね。僕、何されるんだろう。
「怖いのか…。なら今日はやめるわ」
「…え?」
惟久くんは澄ました顔で、僕の頬をつまんでいた手を離した。お尻の手はまだだった。そして、僕のお尻をつまんだ。
「…い、痛いよ」
「これだけで痛いのか。弱いな。てか、お尻小さ過ぎじゃね」
「…は、離してよ。僕のお尻触らないで」
「はいはい、お前は子犬だな。まじペットだ」
僕は、惟久くんにベンチに置かれた僕のカツラを取りに行って、言った。
「もう、6時だから、僕帰るね」
「帰る?1人では帰らせねーよ。そんな格好では。俺が送ってくから」
僕は、カツラを付けたら惟久くんに手を引かれた。そして、街中へと連れられた。
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「あの二人、恋人なんかな」
「女の子、めちゃ可愛い」
こいつはすげー可愛いもんな。周りの男らに目付けられてんじゃねーかよ。やっぱり1人では帰らせれーな。背もこいつ、160あるかないかぐらいか。あぁ、可愛い過ぎ。入学の時も目に留めていたけど、まさかこいつ女装してこんな東京に来てるとか思いもしなかった。
俺は己継を引っ張って連れてくるなり、道端に置いた、俺の愛車のバイクに乗せた。
「これで帰るからな」
「ば、バイクだよね」
己継は怖がりながら言った。「そうだ。俺のバイク」と言って、バイクに跨いだ。己継の腕を引っ張って、抱きつくように伝え、己継の家へと走った。
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「惟久くん、僕の家、ここだから。ありがとう」
「じゃあな」
僕は惟久くんに伝え、惟久くんは手を振ってバイクを走らせて行った。
ガチャッと勢いよく、僕の家のドアが開いた。そして、美羽姉が勢いよく飛び出してきた。
「己継!大丈夫?今の子って、神田惟久でしょ?あの有名な不良くん!」
「うん、そうだよ。でも、大丈夫。惟久くん、そんなに危なくないかもしれない」
僕は美羽姉にそう伝えた。美羽姉が僕を心配しちゃうから。目に付けてやられるのは僕だけでいいから。僕は美羽姉の気持ちを安堵させた。
けれど、美羽姉は眉尻を下げ、心配そうな顔で言った。
「己継、本当に何もされてない?己継、あの子に何かされたら、すぐに私に言うんだよ」
「わかったよ。美羽姉」
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