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第7話
「散歩ってどこに?」
「散歩は散歩」
「…………」
これ誤魔化されてんだよな、きっと。
何かムカつく……。
「…………はーぎ、そんな顔しないで」
どうやら不機嫌さが顔に出ていたらしい。でも伸びてきた笠根の手が更に俺を不機嫌にする。
「よしよし、いい子」
「や、め、ろ!頭撫でるな!」
「可愛いね、萩は」
「なっ……」
それ、さっき黒島が言ってた台詞じゃねーか!男に、幼馴染に可愛いとか……。
「はぁ……っ、梢、気持ちいいか?」
「ぁう…………ん、ぃぃ……いいからぁ……もっ、や……」
ああ、もう!意識逸してたのに!
「黒りんと松ちゃん盛り上がってるねぇ。……萩、顔真っ赤」
「見んな馬鹿!」
「あ」
「あ?」
「顔隠すのもいいけど、下も勃ってるよ」
「だから見んな馬鹿!」
顔隠したらいいのか下隠したらいいのかパニクって、とりあえず笠根に背を向けるように身を翻した。
くそぉ……こちとら童貞なんだぞ!思春期真っ只中のな!
こんな生々しい音聞かされて冷静で居ろって方が無理だろ!
だってあんな……普段意地悪ばかり言う黒島が甘い声で囁いたり。普段元気が取り柄みたいな松原が甲高く喘いだり。
そんな俺の知らない一面を垣間見せられて冷静で居られる訳……。
ぐるぐると考えてるうちに下半身は収まるどころか興奮する一方。
ど、どーしよ……とりあえずトイレに。
そう駆け出そうとした身体は後ろから伸びてきた長い腕に絡み取られて、身動きが出来なくなった。
「なっ、何……」
「黒りんと松ちゃんの見て興奮した?」
「うるさい……放っとけ」
「興奮するって事は抵抗ないんだね、男同士って事に。気持ち悪いとかは思わない?」
気持ち悪い……そんな事は思わねーな。だって。
「んなの思わねーだろ、ダチなんだし。そう言うのは当人達が良ければいいとは思う」
「…………」
いや目の前でイチャつかれるのは流石に気まずいけどな。どんな顔してればいいか分からんし。
「はは、俺、萩のそー言うとこ好き」
「はぁ?意味分かんね……」
「うん、あのさ」
肩口に乗った重みに目を向ければ、笠根の視線とぶつかった。
「俺達もしてみよーか?」
「…………?」
「えっちな事」
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