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第三章 解んない
「では、9月の文化祭はこのテーマに沿って行きましょう」
生徒会長の新納 秀孝(にいのう ひでたか)が、締めの挨拶にそう言った。
役員会はそれで閉会になり、2年生の副会長である健斗は、3年生の副会長・鈴谷 惇(すずたに じゅん)に笑顔を向けた。
「これで本決まり。良かったですね、鈴谷さん」
「飛永くんたちが、後押ししてくれたからだよ。ありがとう」
文化祭のテーマは、会長の秀孝と副会長の淳との二派に別れて揉めていたのだ。
結局、秀孝が折れた形で、テーマは正式決定した。
(健斗ったら、デレッとしちゃって)
二人が仲良く話す様子に、実由は唇を少しとがらせた。
実由は、2年生の書記だ。
健斗が副会長に立候補したと知るや、自分も書記に立候補した。
そのくらい、実由は健斗が好きなのだが……。
「あの、鈴谷さん。放課後、どこかに寄りませんか?」
健斗は、こんなことを淳に言っている。
惚れっぽい健斗は、次なる恋のお相手を淳に定めたのか?
残念ながら丁重にお断りされた健斗に、実由は廊下で絡んだ。
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