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第十一章・6

 司の背に爪を立て、実由は悶え引き攣った。 「んんあぁ! やっ、やぁッ! はぁ、んんぁあ!」  あぁ、体ぞくぞくしてる。  お腹、熱くて。  胸まで、届きそう。 「んぅ、う。あぁ、はぁ、はぁ。うぅ……」 「実由」 「あ、ダメッ。今、動かないでぇ! あ、はぁ、あ、んんッ!」  何度も達して、くたくたになった実由は、気が付けば司の胸にすっぽりと抱かれていた。 「じゃあ、秀孝くんは淳くんと、よりを戻したってこと?」 「うん……」 「健斗くんは?」 「健斗、また失恋しちゃった」  そうか、と司は実由の髪を撫でた。  じゃあ、と髪をなでながら優しく言った。 「今度こそ、実由が健斗くんに告白する番だね」 「えっ」 「前に、言っただろう?」 『健斗くんがフラれたら、今度こそ実由は想いを伝えたらいい。好きだ、って』  そうだった。  なぜだか、とても遠い昔に聞いたような気のする、司の言葉だった。

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