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第8話 チュートリアル6

(もうひとつ。さっきから普通に話そうとしてるんだが、ゲーム内でキャラに話しかける時に変な制約がかかる感じがあるのは、何なんだ?) 『それはお主がツンデレ属性だからじゃ!』 (ツンデレ……属性?) 『ゲームをプレイしたならわかるじゃろ。各々のキャラには属性ちゅうモンが付いておる。それに反する言動をしようとすると、補正がかかるんじゃ』 (どういうことだ……?) 『ツンデレ属性がごめんなさいと言いたい時、普通に「ごめんなさい」と言ってしまったらキャラがブレる。そこで出力を補正して、謝罪の言葉を述べる時は、「べ、別に悪いだなんて、思ってないんだからね!」とする。これは好感度を示すパラメーターの値によって強く出る場合と、弱く出る、いわゆるデレる場合があるが、お主には数字が見えんから管理できんじゃろ。新たな人間関係の中で失敗しながら学ぶしかないわけじゃ』 (んなクソ面倒くさい設定があるのか……!) 『何を言おうとこれがお主にとっての現実じゃ。他にはないかの? もうそろそろ腰が……あー、タイムアップじゃが』 (待った! あとひとつだけ!) 『ほい、何じゃ?』 (ゲーム世界でのエンディング以外のエンドはあるのか?) 『それはのー……どうじゃったかな?』 (あるのかないのかどっちなんだ!) 『それは機密事項に抵触するから答えられん。んじゃ、よいセカンド・ライフを送りなされよ~』 (あ! ちょっと待っ……!)  急激に頭の中の違和感が消え、現実が戻ってきた。

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