『ようこそ！　『ベータはアルファの誓約に』の世界へ。ゲーム世界なので、一応チュートリアル的なものを用意してみたぞい』 （ふざっけんな！　もっとマシな転生場所なかったのかよ！） 『そう怒るでない。悪役令息に転生なんぞ、そう何度もできる経験じゃないぞい』 　ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ！ 　高笑いとともに、ハルの全神経を逆なでにした「神」が胸を反らせた瞬間、そのままの体勢で固まった。 『いぎっ！』 （？） 『ぎ、ぎっくり腰が……』 （阿呆か……） 　思わず頭を押さえ、溜め息をついたところで、「神」が杖に縋り付いた。 『ハルよ、何か聞きたいことはあるかの？　手短に』 （……） 　ハルは慌てて頭を整理し、現状を理解しようと努めた。 （確認したい点がいくつかある） 『何じゃ？　言うてみ？』 （ここは『ベータはアルファの誓約に』のゲーム内の世界で間違いないんだな？） 『ふむ』 （そしておれは、ゲーム内でいずれ破滅することが確定している役どころの、悪役令息に転生している。間違いないな？） 『ふむ』 （おれの中にはハル・ロゼニウム・ガーディナーとしての記憶がある。それはじきにおれと不可分になり、馴染むものだ考えていいのか？） 『ふむ。飲み込みの早い若者は、わしは好きじゃ』