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第6話 チュートリアル4
つまりこのゲーム世界は、主人公ララ・フランシスにとことん甘く、悪役令息ハル・ロゼニウム・ガーディナーにとことん厳しくできているのだ。この世界でハル・ロゼニウム・ガーディナーとしての人生を生きるということは、進級を待たずして輪姦破滅エンドを迎えることに他ならない。
──それだけはごめんだ。
とハルは思った。
(だいたい、輪姦破滅エンドでおれが破滅したとして、その先はどうなるんだ? 友だちにも家にも見放され、おれはちゃんと生きていけるのか……?)
怪しいものである。
(そもそも、この世界に転生したってことは、人生ハードモードってことじゃないか? そんなの、受け入れられるか! あの爺、どこにいやがる! 出てきて説明しやがれ……!)
『ほい、呼んだかの?』
(ふあっ?)
ハルが力一杯念じると、なぜか頭の中にいわゆる「神」の声が響いた。同時に瞬きの速度であの水色の宙に飛ばされる。傍らを振り返ると、「神」は杖を付いて、つぶらな眸でハルを見ていた。
(爺ぃ! よくも謀ったな!)
『ご挨拶じゃい。わしには親切にせんか。お主を転生させたのはわしじゃぞ』
(親切にされたいなら、それなりの誠意を見せればいいだろ! よりによって何で……っ)
ハルが頭を抱えると、「神」は大仰に両手を上にあげた。
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