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第19話 強制イベント発動1

「すみません……お二人とも……」  下敷きになったララを救護室のパイプベッドに寝かせつけると、ハルはつんと明後日の方向を向いた。 「まったくだ。きみと一緒にいると、ろくなことにならないじゃないか」 (あああ、ただ「気にするな」って言いたいだけなのに、このツンデレ属性が……!) 「二人分の体重なんて、ララに支えられるわけないだろ。こいつが悪いんだ。急に俺の腕を掴むから」  ウィリスがハルを親指で指す。ハルはムッときてその親指を掴んだ。 「きみがバランスを崩さなければ、転ぶことはなかった」 「俺のせいにするのか? 元はといえば……」  ウィリスに売られた喧嘩を買う姿勢になったハルに、不意にララが「ふふっ」と笑った。笑うと急に花のような気品が匂い立つのが印象的な笑顔だった。  だが、静止して振り返った二人を見たララは、慌てて謝罪した。 「あ、すみません。お二人とも仲がいいなと思っただけで……」  ハルとウィリスがそれぞれに反論を口にしようと身を乗り出したところで、予鈴が鳴った。 「昼食だ。いくぞ、ハル」 「おれも転んだ側なんだが」  扱いが雑じゃないか? と言外に匂わすと、ウィリスは人の悪い笑みを浮かべた。 「箱入り息子は軟弱なんだな」 「なんだと」  いきなり嫌味を言われたことにカチンとなったハルが顔を上げると、ウィリスの手がハルの額を覆った。

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