23 / 179

第23話 ポーズは3回まで2

(駄目だ。こんな状況でどうやってキスなんか……確かにララが魅力的なのはわかるが、今キスなんかしたら完全に変態だぞ! それこそ初期値に戻る……!)  しかし、ララは心配性なのか、自分が原因でハルに迷惑をかけたと思い込んでいる節があった。 「でも、お顔の色が優れない気がします。やっぱりベッドをお譲りしましょうか……?」 「い、いらない! きみが使えばいいだろ」 「でも……」 「いらないったら! あ……」  思わずララの手を、強く叩いてしまって青ざめる。ハルは、呆然としているララの手をとっさに取り、ぎゅ、と自分の方へと引き寄せた。  その時、天啓が降りてきた。 (『唇にせいとは言っとらん』)  そうだ。  誰も唇にしろとは言っていないとあのクソ「神」が言っていた。  ハルは掴んだララの手を自身の方へと引き、そっとその甲に口づけをした。 「……ハル、さま……?」 「あ、いや……っ、い、痛くしたなら、その……っ、わ、悪かったとか、そういうことは思ってない……っ」 (くそ、まだツンデレやがる……!) 「こ、これはあれだ! 仲直りの……とにかく、これでもう痛くないだろ!」 「あ、はい」 「だ、だったらもういいだろ! いつまでも根に持たれると、こっちだって困るんだ!」 「はい、ハルさま……」  心なしかうっとりとした口調で言われ、ハルはとりあえず試練をパスしたことに、満足げに顔を反らせた。

ともだちにシェアしよう!