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第25話 ルート選定1

(何てゲームだ、くそっ! 忌々しいダイアログめ! お前なんぞ全部「いいえ」で拒絶し続けてやるからな!)  疲れ切ったハルが食堂へ向かおうとすると、向こうからトーリスが歩いてくるのが見えた。そういえば、ウィリスがトーリスと一緒に昼食を持ってきてくれる手はずになっていたことを思い出したハルは、軽く手を上げて歩み寄った。 「トーリス、手伝わせてしまってすまない」 (トーリスのダイアログはまだ出ない……ということは、攻略対象として認識されていないということだろうか?)  今のところ、ララ、ウィリス、パリスにダイアログが出ている。あとの二人は、ハルの記憶と予測が確かならば、トーリスと、モーリジィのはずだ。 「いや。だが、ウィリスもじきにくるから、救護室で待ち合わせて、すぐに昼の見回りに出ないとならないんだ。きみは? さっき何か言っていたようだったけど」  銀色の眸を煌めかせ、トーリスは静かにハルを探った。冷静沈着で、兄のウィリスのような派手さはないものの、アルファとしても、人としても、尊敬に値する人物だ。 「いや。ただの独り言。ちょっと色々あってな。半分持とう。ララはまだ救護室だから、おれも一緒にいくよ」  トーリスから昼食を受け取りながら、彼の好感度をどう上げたものかと、ハルは思案を巡らせた。 「何か心配事でも?」  すると、よく人を見ているトーリスがハルに尋ねてきた。

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