3 / 181

勇者を辞める方法

 ――まあ、そんなこんなで魔王と戦う訳ですけど。  無人島の洞窟の入り口に腰掛け夕日を眺めながら、キースはふと苦笑する。   ――過去を振り返るとか、死ぬ前みたいだ。  二十七歳のみそらで、もちろん、まだそのつもりはない。  ここへ来る前に、同居を拒否してくれやがった大魔法使いの言葉が何度も頭を巡る。 『ひとと離れて暮らすなど、お前にできるはずがなかろう。なぜなら』  炎を孕んだような激しい目に責められているようで、顔を背けたキースに彼女は警告のように呟いたのだ。 『お前はひとを愛しているからな』

ともだちにシェアしよう!