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第17話

突然の告白に俺は心臓の鼓動がとても早くなる。 小林が俺の事を好き?そんな事あっていいのか…。 ベッドに潜り目を閉じながら冷静に考える。 しかし、熱のある頭では正常な考えは浮かばず仕方なく眠りについた。 夜中。寝苦しく感じ始めた頃、額に冷たいものが当てられた。小林が置いてくれたのだろうと思い目も開けずそのまま身を任せた。 朝起きると俺のベッドに寄りかかるように寝ている小林がいた。 「小林…?」 俺が呼んでみるとすぐに目を覚まして、俺の顔を見て安心したように顔を緩ませた。 「体調はどうですか?熱は?」 「大丈夫。昨日よりも楽になった。」 「そうですか。」 そう言ったが小林はすぐに体温計を持ってきて俺に計らせた。 熱はなく俺のいつもの平熱に戻っている。 「ん、下がってますね。明け方に熱が上がった時は、大分苦しそうでしたけど今は良さそうですね。」 「明け方…?ってお前…まさかずっとここにいたのか?」 俺は驚いて小林に聞いた。すると小林は悪びれる事もせずに「そうですが」と言った。 「何度か額に手を当てて熱の上がり具合を確認しましたけど、何回薬を飲まそうとしたか悩みましたよ。でも、今日は下がって良かった。」 目元に隈を作りそんな事を言われても俺からしたら良くはない。 俺は仕方なく水中補給をするために、冷蔵庫を開いた。するといつもより中身が充実していた。昨日の具材の残りだろう。 俺はスポーツドリンクを片手にリビングで出勤の支度をしている小林に尋ねた。 「お前、実はそんなに寝れてないだろ?」 「そうでもないですよ。」 すると小林は案外シャッキリとした態度で答えた。 しかし、何か思いついたようで悪戯っぽく口を釣り上げると俺の顔を覗き込んできた。 「でも、看病代は高くつきますよ?」 「ああ…うん?いくら位だ?」 俺は昨日作ってくれた料理の具材代や、今飲んでいるスポーツドリンク代の値段を聞いた。すると小林はため息をついて呆れたように俺をみた。 「…それってわざとやってるんですか?」 「何が?」 小林の意図が分からず俺も少し口調が強くなる。しかし、小林にとっては俺の発言はその意味を確固たるものにした様でまた呆れた顔をされた。 「いや。そうですね。 お代はいらないので、昨日の告白の返事をください。出来るだけ前向きに検討して欲しいですね。 じゃあ。行ってきます。あ、念の為に今日は会社は休んでくださいね。」 そう言い残して小林は会社に行ってしまった。 俺は少し動揺しながらも、小林の言った事を呑み込んだ。 告白の返事か…。前向きに検討ねぇ。正直、俺も小林が好きなのは自分でも確信していた。 しかし、このまま「はい。俺も好きです。」で収まるところに収まってもいいのだろうか。 また。居なくなったりしないのだろうか。それ以前にアイツはノンケだろう。 まったく、病み上がりにこんなに考えさせないで欲しい。 俺は立ち上がり気分転換に風呂に入る事にした。久々に湯船に浸かりながら、少し億劫な事を洗い流そう。そしたら何かが見えてくるかもしれない。

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