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終わらない二人きり。

震えながら、ただじっと男の返答を待つ。 少しの沈黙の後――ハッ、と乾いた笑いがこぼれた。 「馬鹿か」 男が律動を再開した。 「あ、ぁ……」 「お前を手放すなんて――そんな、馬鹿なことは、しない」 腰を強く打ち付けられ、俺は甘い声で喘いだ。 「ひっ、ぁ」 下腹部に宿る熱は、収まることを知らず 男のものを深く深く、奥まで飲み込んでいく。 「――(まもる)」 男は、俺の名を呼んだ。 その名前を呼ぶ人間はもうこの世に――この男しかいない。 「死ぬときは一緒だ」 男は、唇に笑みを浮かべた。 俺の目から、涙がこぼれ落ちる。 この世界は――二人きり。 社会から断絶されたこの孤独な世界で 俺たちはいつまで、悲鳴を上げられずに、生きていられるのだろう。 目を閉じる。 この世でたった一人。 自分以外の人間が与えてくれる熱と、快感と 〝今、自分は息をして、生きている〟 ――その、現実感に 俺は溶かされていった。

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