5 / 7

終わらない二人きり。

「っ、なんだ?」 熱っぽい黒目が俺を見下ろした。 それだけで、ズクン、と身体中が熱くなる。 「――俺の前から、いなくならないでくれ……っ」   男が、それまで激しく打ちつけていた腰を止めた。 「は、ぁっ……俺のことが好きじゃなくてもいいから……頼むから――いなくならないでくれ」 もしもこの男が――俺の前からいなくなったら。 俺はほんとうに、ひとりきりになってしまう。 それは、想像するだけで、ブルリと震え上がるほどの恐怖だった。

ともだちにシェアしよう!