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終わらない二人きり。
「っ、なんだ?」
熱っぽい黒目が俺を見下ろした。
それだけで、ズクン、と身体中が熱くなる。
「――俺の前から、いなくならないでくれ……っ」
男が、それまで激しく打ちつけていた腰を止めた。
「は、ぁっ……俺のことが好きじゃなくてもいいから……頼むから――いなくならないでくれ」
もしもこの男が――俺の前からいなくなったら。
俺はほんとうに、ひとりきりになってしまう。
それは、想像するだけで、ブルリと震え上がるほどの恐怖だった。
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