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第5話

それが、俺と彼の出会いだ。 あの後も、彼は度々現れては添い寝をねだった。そして、色んな思惑が重なり、今は俺の妻に収まっている。人生、不思議なものだ。 彼は遊び人だ。それは俺の妻になった後もそうだった。最初の二ヶ月は政治上の理由もあってか大人しくしていたが、そんなゴタゴタも片付くと遊びだした。別に止めようとは思わなかった。 彼は惚れっぽい。花街に繰り出し、女に引っかかっては手酷く振られて俺に慰めてもらいに来る。俺でいいならいつでも貸すが、あまりにも泣くので止めたくなった。が、あまり彼のすることに口を挟みたくない。 私達は夫婦だが、所謂政略結婚だ。ドライな関係であることが普通。彼は俺に慰めてもらうのは好きなようだが、別にそれ以外は求められていない。態度でわかる。それに、好きなようにしていいと言ったのは俺だ。多少政治的な思惑があって自由に動けない期間もあるが、そうでない期間は好きにすればいい、と。 彼は身分が高い。 公爵家の妾腹の三男坊で、家族からはあまり快く思われていないようだが。 対して俺は侯爵家、しかも、中立派と言ったら聞こえはいいが、他の侯爵家に比べて力のない歴史だけは長い家。 そんなところのお坊ちゃんが、わざわざ俺と結婚したのだ。こちらは離婚されないよう媚びへつらい受け入れる。 そう。こちらは彼を繋ぎとめるよう努力しなければならない身。彼がたまたま、政治上困っていた俺を助けてくれるという気まぐれを起こしたのみ。

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