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第8話
「スティー、スティー。」
名前を呼べば。ほんの少し、彼の目に理性が戻った気がした。彼は俺に擦り寄ろうとして、ぴたっ、と止まる。
同時に、震えが一層ひどくなり、涙をこぼし始めて俺から遠ざかろうとする。
「ご、ごめっ…きもちわるい、、よね…ごめ、んねっ…ごめん、…っ」
「そんなことは言っていない。とりあえず俺と風呂に入ろう。」
「だ、だめっ!…お風呂、やだ…!」
さらに逃げられる。が、容赦はしない。これでも俺は怒っている。
だから俺は、馬鹿なことをした。
「言うことを聞け。」
壁際に追い詰め、冷たい声でぴしゃりと言い放ったのだ。
「ぁ…」
彼の目はまた虚ろに戻り、俺が近づいても抱き上げてもなんの反応も示さなくなった。
「さすがに不味かったか?」
血も涙もない、という私の噂の意味はなんとなくわかっている。しかし、この方が楽だったのだ。
……本当に、私は素直じゃないな。
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