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第3話

「お邪魔します…」 来てしまった。相変わらずいい匂いがするはるの部屋。初日の出来事を思い出して顔が熱くなるがわかる。いやいや、そうならないかもしれないじゃん。忘れろ、一時の迷いだ… 「それで、ゆうくん女の子に告白されてどんな気分だった?」 「え」 部屋について荷物を降ろす間もなくそんなことを聞かれて目が泳ぐ。はるに抱きつかれた時の方がドキドキした、とか…はるのほうが綺麗だなんてそんなこと思ってない。思ってない! 「あー…まぁ、可愛いなーって」 「ふ~ん…じゃあ、あの女の子なら抱ける?」 「…なんて?」 「だから、あの女の子相手に興奮するかって話。彼女ほしいんでしょ?」 テーブルに頬杖をついて楽しそうに笑ってるこの人の性格の悪さが今まさに滲み出てる。さっきまで男で反応するのか悩んでた俺は一体なんだったんだ。まぁ、はると付き合ってる訳でもないし、当たり前か。 「違う違うそうじゃなくて」 「え?」 「あ、いやなんでも。可愛いから抱くとか俺はそう言うチャラいのは嫌い」 なんとか冷静に答えれたと思う。不覚にもはるのほうが可愛いだなんて思った事を後悔してる。もうこの人の考えが全くわからない… 「そっかぁ〜、俺だったら…誘われたら抱けるけど…」 「…っとにチャラいな。彼女が可哀想」 「え〜だって断るほうが可哀想じゃん」 「気持ちがないのに失礼だろ…よくそんなんでモテんな…ムカつく」 「ふふ、でも俺は今ゆうくんにしか興味無いからな〜」 「何言ってんだよ彼女もちが。てか、はるは…俺にどうしてほしいの?」 テーブルに置かれたお茶を1口飲むと、俺は真っ直ぐにはるを見つめた。今でこそまるで友達のように接してるけど、そもそもの出会いは前触れもなく俺の前に現れたはるが… ーーー「ゆうくん、俺とせっくすしない?」 なんて言ったのが始まりだ。この関係を言葉にするなら…?友達?恋人?セフレ?どこにも属さない二人の関係について、はるはどう思ってるんだろう。俺は…どうしたいんだろう。 「どうしてほしいか…?ん〜…どちらかと言うと、ゆうくんは 童 貞 く ん!だから、ちゃんと俺とえっちできるように教えてあげたい♡」 「童貞を強調すんな」 「こういうのはちゃんと教えてあげないとわからないもんね?例えば〜…こうやって手を重ねて〜…」 はるは立ち上がり話しながら俺の横に座ると、床に置いてた俺の手に手を重ねゆっくりと絡めてきた。男の手とは思えないほどすべすべして、細くすらっと伸びた指先が俺の手と絡み合い、二人の手のひらが合った。そのままぎゅっと握られたその手を見つめていた俺は不覚にもドキドキしてまっている。 「雰囲気作るのも大切だからね。こうやって、体温を感じるだけで意識するでしょ?」 「…相手は男相手は男相手は男」 「ゆうくん声に出てる」 「……うっ…はるは、彼女にもこうやってするんだよな…?」 「まぁ、そりゃあね、一応彼氏だし…やることやってるからね」 はるはそう言ってふっと笑うと、俺のほうに体を預ける。握られた手を見つめるはるの伏せた視線。カーテンから透ける陽の光を浴びて、キラキラと光る長いまつ毛。ふわふわで金糸のようなはるの髪は触れたくなるほど綺麗だ。意識しないようにすればするほど触れたくなって、撫でるように髪に触れると擽ったそうに微笑むから…抑えきれずに淡いピンクの唇に触れるだけのキスをした。 「ん…」 「俺は…はるが嫌い…」 「…うん」 「こうやって俺の心弄ぶくせに、自分は彼女とやることやってて…考えてることが全然わかんねぇ……」 1度離れたはるの顔がもう一度近づく。唇が触れそうなほど距離が縮まり互いの心臓の音が混じり合うような錯覚すら感じた。はるが一言、吐息混じりに言う。 「……嫌い?」 はるはそう言って、まるで俺の心を見透かしているような、そんな表情で俺の顔を覗き込む。こんなのそうしろって言ってるようなものだ。俺はその雰囲気に流されるよう自らの唇を押し付け深くキスをした。はるは俺を当たり前のように受け入れる。そしてそのまま後ろにあったベッドに倒れこむと自然とはるを組み敷く体勢になっていた。 「ん…」 「ゆう…くん…っ、まって…」 「…はぁ、……うるさい…」 自分から煽ってきたくせに…一瞬だけ戸惑った素振りを見せたかと思えば、すぐに満足げな表情で俺を受け入れた。そんなはるを見て俺は間違いなく欲情してた。何度も何度も互いの舌と唾液を絡めとるようにキスをする。正直俺は、初めての感情に戸惑っていた。男相手にこの昂る気持ちをどうしたらいいのか分からない。その時ふと、はると視線があった。そっと頬を撫で、とろけたような表情で俺を見上げるその視線は…ねっとりと熱を帯びていた。 「…ゆうくん…キス、上手くなったね」 ほら、またそうやって嬉しそうに笑うから…どんどんこの感情に堕ちていく。 「はぁ…やばい、可愛い…」 「……え?」 ため息が出る。性別なんてどうでもいいんだ。ただ、目の前のコイツが可愛くて仕方ない。もう弄ばれても…どうでもよくなってきた。俺に組み敷かれたままのはるは急に俺の態度が変わったからなのか一目でわかるほど動揺していた。照れ隠しのつもりか、片腕で口元を隠し視線を逸らすはるの耳は真っ赤に染まっていた。少し視線を下げるとワイシャツの上からでもわかるほど腫れ上がる胸小さな膨らみ。ただただ、好奇心でそこを指先で軽く弾いた。 「んぁっ!?」 「…っ!?」 「き、急に…びっくりした…」 「俺の方がびっくりしたわ。何、感じんの?ここ」 そう言って先程より少し優しく指先で触れると、はるはさっきまでの余裕そうな表情から一転して声を押し殺すように口元を手で押える。 「…っ……んんっ……」 「へぇ〜…男でも気持ちいいんだ…」 「んぁっ…遊ばない…っ、でよ…」 「さっきまで俺の事散々煽ってたくせに…んっ」 はるの乱れたYシャツを捲り上げその小さな突起物に舌を這わせた。触れる度にビクンと跳ねる体、さっきまで抑えてたはるの甘い声が漏れる。頭上から聞こえるその声に視線を上げると、目を細め潤んだ瞳と目が合った。その瞬間ドクンと脈打つのがわかった。それに気がついたのか俺のそこにそっと触れるはるの手。 「キツそ…」 あーまた主導権を奪われた。手際よく制服を脱がされると露になったそれを、はるの手が優しく包み込んだ。はるの体温が手のひらから伝わって熱い。それだけでドキドキする…小さく吐息が盛れた。 「ぁ…っ、いいってやめろ」 「手伝ってあげる…だから、ゆうくんも俺の触ってくれる?」 そう言われて気がつけば向き合って座った状態で、互いのそれに触れ合っていた。はるの動きに合わせるようにリズム良く動く手。互いに呼吸が乱れてくると…また俺の中でパンッと何かが弾けた気がした。 「はる…」 名前を呼ばれ顔を上げたはるのそれから手を離し、覆いかぶさるように抱きしめると、唇を押し付けたまま倒れこんだ。今度はそのまま無理やり四つん這いにして太ももの隙間に自分のそれを滑り込ませた。 「これなら…はるのも擦れるし、俺も気持ちいい…だろ?」 「ま、待って…!?いきなり素股!?」 「ちゃんと太もも閉じろよ」 「ちょ…っ、…んぁ…」 「それともここに入れた方が良かった?」 「そこは待って…ゆ、び…まっ…んんっ」 動くと擦れるのか気持ちよさそうに甘ったるい声を出す。もっと聞きたい…そういえば自分で準備してた時あったな…と、あの日のことを思い出して露になったその場所に少し触れてみた。ほんの少し触れただけでもヒクヒクするそれに下腹部が熱くなる。 「ここって、濡れないよな…あぁ、はるので濡らせばいいか。ィけよ」 「へ!?」 多分俺は今、理性がぶっ飛んでると思う。はるがぐちゃぐちゃになった姿を見たい。それだけの理由で腰の動きを止め、自らの手を前へ伸ばすと、はるのそれを包み込み激しく動かした。それと同時に上の突起物に触れると力なく前へ倒れこみ声を抑える姿にまた興奮した。本当は自分も早く出して楽になりたいと思うほどキツい。でも…俺の手でこんなに甘く鳴いてトロトロになってる姿を見たら…… 「なぁ、女の前でもそんな声出すの…?」 「んぁ、んん…、ゆうく…ん…ィきそ…」 「あ〜…はる、女みたい…可愛い……彼女が見たらどう思うんだろうな?」 「んん…しら、ない…っ、んっ」 俺の声なんか聞こえてないんだろうな…そんな事を考えながらはるの顎を掴んで横を向かせると、涙に濡れたピンク色の瞳を見つめたままキスをした。 「…んっ…、はる…すき」 漏れ出す自分の声に自分でも一瞬驚いた。その瞬間動かしていた右手に脈打つ感触。前に倒れ込み横になっったはるは、乱れた呼吸を整えるように大きく深呼吸する。 「はぁ~!!!気持ちよかった…ハマりそ~…」 その時の満足げな表情に心臓がぎゅっとなった。それを隠すように平然と話を振った。 「…なぁ、男にイカされてどんな気分?」 「ん~?…そんなことよりゆうくん、俺のこと好きなの?」 「俺の質問に答えろや💢」 「あは、ごめん。嬉しくてつい…俺も好き」 「……そうかよ、そりゃどーも。」 俺の右手についた乳白色のそれは手首まで滴っていた。なんとなくそれを舐めとると、少しだけ甘かった。

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