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番外編~聖逢生の恋、愛~
いつの間にか親友に恋人ができていた。気さくな性格だからか友達も多く、自分が密かにモテてる自覚が一切ない親友。まさかそいつの相手があの"綾川先輩"だったとは。
去年卒業したが今でもたまに校門まで迎えに来てるのを見る。俺がそれを知ったのは去年、先輩が卒業する前…空き教室でキスをする二人を見た時だ。結局本人から聞いたのはそれからしばらく経ってからだった。
「あいちゃ~ん、お腹空いたぁ」
そんな俺は今、幼なじみの家で夕飯を作っている。
「なに、考え事?」
俺の事を"あいちゃん"と呼ぶこの男、綴喜紫乃(つづき しの)は俺の肩に顎を乗せて手元を覗く。いつもの事なのに最近は距離感が前より近くなった気がする。
「ん?いや別に…もう出来るからまっ…おい」
「ん~?」
「変な触り方すんな、変態」
「いった!」
腰に巻き付く紫乃の腕をペシっと叩いて肘で押し返すと。少し頬をふくらませたまま冷蔵庫に向かう後ろ姿を横目に料理を仕上げる。紫乃は6歳上で今は大学生だ。少し前まで家が隣だった事もあり小さい頃からよく遊んでいた。今日は大学の近くで一人暮らしをする紫乃の家に遊びに来ている。
「お前今日どうすんの?」
「ん~?これ食ったら帰る」
「え~、泊まってけよ~。兄ちゃん寂しい」
「何言ってんだよ仕事あんだろ?邪魔したくない」
紫乃はダルそうに話しながらあっという間にご飯をたいらげた。そして、テーブルに肩肘をついて唇をとがらせる。
アッシュグレーの猫っ毛から覗く薄ら緑がかった切れ長の瞳。傍から見れば目つきは悪いし、外では人見知りで無口だからクールに見える…と、紫乃の友人が言っていた。
「あいちゃんがいてくれた方が捗るな~」
「……泊まる用意してないし」
「置き歯ブラシとパジャマあるじゃん。」
「うっ…」
「決まりね♡」
ご満悦そうに笑った紫乃に抗えず、渋々泊まることにした。外ではそれなりに売れてるバンドマンのくせに家ではまるで子供みたいなギャップに俺は頭を抱えていた。
ーーーくっ…甘えられると逆らえない…
結局泊まることになった俺はシャワーを浴びて紫乃と同じベッドで寝ることになった。
「ねぇ、紫乃…さすがに狭くない?」
「そう?」
「やっぱ俺ソファで」
「だめ、兄ちゃんと寝るの」
「俺もう高三なんだけど」
紫乃は俺の話を無視してゴソゴソと俺の首の下に腕を滑り込ませると、腕枕の状態で抱きつく。
これもいつもの事でただただ重いとしか思わない俺もどうかと思う。
「おやすみ、あいちゃん」
「いい加減あいちゃんはやめろ。おやすみ」
……目を瞑ってどれくらい経っただろう、耳元で聞こえる寝息が擽ったくて眠れない。意識しないようにしてても俺が動く度紫乃の腕に力が入って身動きが取れなかった。
「んっ…」
生暖かい紫乃の吐息が耳にかかる。目をぎゅっと瞑って関係ないことを考えようとしてるのにわざとなのか紫乃の膝が俺の下半身に当たるから自然と反応してしまっていた。
「あい…、何勃たせてんの?」
「!?」
恐る恐る紫乃の方を見るとニヤッと笑った紫乃と目が合った。
「……紫乃、わざとだろ」
「途中から起きてただけ、わざとじゃないよ?」
そう言って片手を俺の服の中に忍ばせるとわざと耳元で吐息混じりに話す紫乃。片手はそのまま俺の胸をまさぐりはじめる。
「……そんなに胸触りたいなら…っ、女でも抱けばいいだろ…」
「思ってないくせに…」
「あッ…やめ、…」
「ほら、こっちも勃ってきた…」
紫乃の触り方が妙にえろくて時折体がビクンっと反応する。こうなったら自分でももう、抑えられなくて…自分から紫乃の薄い唇に指先で触れた。
「んっ…紫乃、キスしたい……」
「おねだりの仕方、教えたよね?」
「……に、にぃちゃん、キス…して?」
「いい子だね、あいちゃん……♡」
紫乃は俺が"兄ちゃん"と呼ぶと嬉しそうに微笑んで唇を重ね押し付けてくる。ゆっくりと生暖かい舌が滑り込んでくると、唾液を絡めとるように何度も何度もキスをした。息が荒くなり互いに漏れる吐息、いつの間にか俺のそれに手をかけ上下に擦られると腰が引けてくる。
「んぁ…っ、ん……」
「ん…、あいちゃん逃げちゃダメだよ」
「だって…気持ち…っ、くて……ぁ…」
「あ〜、本当に可愛い…こっちもヒクヒクしてる」
後ろのほうに手が回ると周りをすーっと撫でて時折トンっとそこに触れるから焦れったくなる。
「ん…にぃちゃん……触って…」
俺の言葉を合図にゆっくりと指が自分の中に入ってくる感覚に襲われる。ゴツゴツした長い指が優しく中を擦るから、それだけで気持ちよくて頭が回らなくなる…
「あいちゃん、体勢変えるね…」
仰向けにさせられるといつもより低くて優しい声で俺の名前を呼ぶ紫乃。その声が好きで、優しく触れる手が好きで…俺は心底紫乃に惚れてるんだと実感する。
「にぃちゃん…もっと、……」
「本当に…煽るの上手になったね」
「にぃちゃんが仕込んだんだろ…」
「ふふ、あいちゃんは俺だけのだからね」
上から見下ろす紫乃の頬に手を添え自分から引き寄せ舌を絡ませるように何度もキスをした。時折二人の間にツーっと透明な糸が伸びるとそれを伝って紫乃の唾液がこぼれ落ちてくる。
「そろそろいいかな…」
ぴちゃぴちゃとやらしい音を立ていい所を指でトントンと当ててくる。それだけでイキそうなのに紫乃は俺が勝手にイケないように片手で俺のそれをギュッと握っていた。
「まっ…、んっ!イキた、い…」
「ん〜?俺のじゃなくて指がいいの?」
「そう…、じゃな…ぁっ!イクって…んっ!」
「あいちゃん、ちゃんと言えたらいいよ」
「はぁ、はぁ…ぁ、ん……にぃ、…んあッ」
「なぁに…」
「んぁ…、にぃ…、ちゃん、イかせて……」
「よく出来ました♡」
前も後ろも同時に犯されて頭の中が快楽で何も考えられなくなる。ぐちゃぐちゃになった快感をそのままぶちまけた。
休む暇もなく押し当てられたそれがゆっくりと中を圧迫していく。
「うわ…締めすぎ、ん…」
「はぁ…、はぁっ……紫乃…」
「紫乃…?」
「ん、変態…いつまで兄ちゃんって」
「二人でいる時は兄ちゃん、でしょ?」
「……にぃ…ちゃん」
「あいがそう呼んでくれるだけで興奮する」
「……変態、早く動け」
「は…どっちが変態だよ……」
「んっ……」
何度も奥まで突き上げられて快感に溺れていくこの感覚が堪らない。昔から大好きだった紫乃に愛されてると実感できるこの瞬間…
「にぃちゃん…俺の事、好き?」
「ん、はぁ……っ、好き。あいだけ…だからあいも俺以外とこんなことしちゃダメだよ」
「うん…んぁ、…にぃ…っ、ちゃん…♡」
俺達は付き合ってない。
でも、恋人以上に依存してる。
ーーー聖逢生の恋愛
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