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27.ヒートとつがい成立
その後は集中してと怒られたのなんて嘘みたいに俺は夢中で快楽を追うことになった。
やはり注射のせいでヒートも誘発されてるらしい。
――しかも礼央は今日はまだα向け抑制剤を飲んでて本気じゃないのに…
俺が番になりたいと言ったのがよほど嬉しかったのか、抑制剤無しの時みたいに激しかった。
俺がいくら恥ずかしいって言ってもアナルを舐めるのをやめてくれない。
そこから出てくる分泌液もαにとって酷く蠱惑的な香りがしているそうだ。もちろんΩである自分にはわからない。
舌を中まで入れられ、美しい男にいやらしいことをさせているという背徳感と快感に身を捩る。でもペニスと違って奥まで届かないのがもどかしい。
「あん…礼央、もう…してよぉ…」
礼央が俺の顔を見上げて口の端を意地悪く歪める。
「何を?何をどうして欲しいのかな?」
「あ…そんなの…んっ…わかるでしょう」
「こう?」
また同じように舌で窄まりを舐られる。
気持ちいいけど、もうちがうものが欲しい。
「そ、そうじゃなくて…んっ!だめ…や、やだ…それじゃないのぉ…」
「じゃあ何?言ってよ。どうすればいい?」
「いれて…」
「どこに?何を?」
礼央は笑いながら俺のアナルの入り口を指でくすぐる。
2本指で穴を開いたり窄めたりして弄んでいる。
俺は恥ずかしくて顔を手で覆いながら言った。
「ぁ…中に…礼央の挿れて…」
「挿れるだけでいいの?」
「中で…出して」
礼央は満足したようで、ようやく屹立した陰茎を濡れた穴に押し込んだ。
普段あんなに優しいのに、セックスの時はねちっこくて意地悪になる。
「ぁあ…ん、奥まできてぇ…」
ずず、と奥まで入ってくる。礼央とのセックスで桐谷と違うのは何と言ってもペニスの大きさと長さだった。
こんな所まで届くのかと最初は驚いた。でも気持ちよくて今は奥まで入れて貰わないと物足りないくらいだった。
奥の方でカリ首に直腸内を抉られる感じがたまらなく気持ちいい。
しかも入れられるまでに焦らしに焦らされているのでいざ入れられたときの快感はすごかった。
激しく揺さぶられながら、俺は喘ぎ声を上げて礼央の身体にしがみつく。
「美耶さん…美耶…ねえ顔見せて?」
「やだ、恥ずかしい…」
「キスさせてよ」
顔を見せるのは嫌だけどキスはしたいので顔を上げた。
「ああ、発情してるエロい顔可愛い…美耶は恥ずかしい振りするけど気持ちいいこと大好きだもんね?」
「ぅう…好き…好き…!」
「僕のコレ、好き?」
「ん、礼央のおちんちん好き、気持ちいい…奥まで来てすごい…」
「エロすぎる美耶さんのせいでもう出そうだよ」
「あんっ…早く出して!奥にいっぱい出して俺のこと孕ませて…」
「ん、美耶、美耶…妊娠して…僕の子ども妊娠してよ…」
礼央は激しく腰を打ち付けながら中に射精した。αの射精は長く、量も多い。びゅくびゅくと中で脈打つペニスを感じながら、俺も絶頂を迎える。
「ああ…イッてる美耶さんの中うねって…すごい、搾り取られるみたいだ…最高…」
あまりの快感に顔を顰める礼央が愛しくて、俺は手を伸ばしキスする。
「次は後ろからして…お願い首噛んで」
「美耶さん、そんな煽って俺を試してるの?」
なに?どういう意味?とにかく早く噛んで欲しい。
そう思ってたら礼央は俺の身体をひっくり返してやや乱暴に腰を掴むといきなりまた挿入してきた。
「ああっ!待って!まだイッたばっかりなのにっ」
αの体力はもちろん最上級で、性的な持続力も半端ない。
俺は自ら強請ったことを後悔するくらい奥を突かれ、掻き回され、涎を垂らしながらビクビクと快感に震えている最中に頸を噛まれた。
「ヒィッ!あっ…やぁっ」
ゾクゾクと怖気にも似た快感が背筋を駆け巡って仰け反った。
「んんっはぁ…んっ」
――痛いけど気持ちいい!もっと!もっとして…!
後ろから攻められ、首も何箇所も噛まれて痛いのか気持ちいいのかもうよくわからなくなっていた。
何度イッたかもわからない。
噛まれた時のゾクゾクが堪らなく気持ちよかった。
礼央ももう言葉少なになってはぁはぁと荒く息を吐いているばかりだ。
獣じみたセックスに溺れて最後に俺は意識を手放した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後も1週間休みを取っていた礼央は、抑制剤を一度も飲まずにびっしり俺を抱き潰した。
俺は期間中食欲がなかったからゼリー飲料などを飲んで凌いでいたが、礼央は出す分だけ食べるとでもいうようにデリバリーでいつも以上にガツガツ食べていた。
そしてもう32歳の俺はヒートが明ける頃にはボロボロになっていた。
「年長者を労われよ…イテテテ」
腰や全身の関節が馬鹿みたいに痛む。お尻は言わずもがなだ。
「ヒート明けすぐにクリニックに来いって言われてたんだからな!本当は今日行きたかったけど無理だよ…」
「すみません、美耶さんがあまりにも可愛くてつい…」
「可愛いなんて歳じゃないんだよ俺は」
「いえ、間違いなく可愛いのでそこは譲れません」
まったく!
礼央を睨んだ。
「首も噛みすぎ」
ヒート中は気持ち良さでわけがわからなくなっていたけど、身体の熱が落ち着いたら首の噛み傷が猛烈に痛み始めた。それで鏡を合わせて首の後ろを見たら歯型だらけでひどい有様。もう、うちの旦那様はどんだけがっついたんだとびっくりした。
「それは…!それはすみません…僕が悪いです」
「はい、傷の手当てして」
ヒート明けでまたαの抑制剤を飲み始めた礼央はいつもの優しい夫に戻っていた。
激しくしすぎた自責の念でいつも以上に気を遣って壊れ物を扱うみたいに慎重に手当てされる。
「番になった痕ってもっとロマンチックな気持ちで見られると思ってたのに…」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「狂犬に襲われた痕みたい…」
「うう…ごめんなさいぃ…」
礼央はすっかりしょんぼりしてしまった。
いじめるのはこのくらいにしておくか。
「ふふ、嘘。礼央がエッチの時俺のこといじめるからお返ししただけ」
「……怒ってないですか?」
「怒らないよ。番になれて嬉しい」
礼央の目を見て微笑んだ。
「よかったぁ…嫌われたら…もう噛んだ後だしどうしようかと思いました」
礼央はほっとした様子で俺を後ろから包み込むように抱きしめた。
そんなことくらいで嫌いになってどうするんだよ。
礼央の手が俺の下腹部を優しく撫でている。何も言わないが、2人とも考えてることは同じだ。
ちゃんと排卵してるといいな…
以前はヒートでαとセックスしたら簡単に妊娠するって思ってた。
でも実際にはまず卵がちゃんと育って、卵巣から排卵しないといけない。
俺はまずここが第一関門。
そして卵管でタイミング良く精子と出会って受精して…っていうのが第二関門。これは先生にタイミング指導してもらったし大丈夫だと思う。
で、受精卵が卵管を通って子宮に入って、子宮内膜に着床して初めて妊娠するんだよな…
なんていうか、道のり長い!
正直簡単に妊娠出来る人が羨ましい。
でも俺も可能性ゼロなわけじゃないから今回ダメでもまた頑張れるし!
「美耶さん、明日も休み取るから僕がクリニックへ送っていくね」
「そこまでしなくて良いよ。大迫にお願いするから」
「だめ、まだ本調子じゃないから僕が…」
「礼~央。まだこの先長いんだよ?通院の度に休めないでしょ。大丈夫だからちゃんと仕事しなさい」
ほんと心配性だなぁ。
そして翌日「やっぱり僕が送る」と言い出した礼央をなんとか宥めて大迫の車でクリニックに赴いた。
エコーの結果、前回見た時大きくなっていた卵胞は無くなってるので、ちゃんと排卵しただろうとのこと。
俺はまず少しほっとした。
これでうまく受精して着床出来れば妊娠だし、ダメならまたもう1回最初から3ヶ月後にやり直しだ。
「じゃあ、○月○日に判定しますのでこちらで予約取っておきますね。黄体ホルモンのお薬は無くなるまで飲みきってください」
女性だと生理が来れば妊娠しなかったのがわかるが、Ω男性はそれが無いためクリニックで血液検査をするらしい。
黄体ホルモンは子宮内膜を充実させてくれるもので、着床を助けてくれるそうだ。この薬は前回貰ってあり既に飲み始めていた。
「あの、判定日まで気をつけることはありますか?」
「いいえ特に無いですよ。普段通り、気にし過ぎないのが一番。なるべく気を楽にして過ごしてて下さい」
そうは言われたものの、もちろんこの後判定日までたまに思い出しては悶々とするのであった。
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