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病的。2 (信side)

あれはたしか、お昼休みのこと。 彼と仲のいい?男の子が、壁に寄りかかっていた。目の前の机に雑誌を置いて、ゆっくり彼とおしゃべりしている。 そこに、以前彼に告白した女の子が、アプローチのために声をかけた。 睦月くんは一人が好きみたいで、基本的に周りに人はいない。 珍しく、彼が誰かと話していたから、チャンスだと思ったのかな。 「たつみくんは、こーゆーのが好きなの?」 その女の子が話しかけたとき、周りは緊張したと思う。彼は、そーやって乱入されるの、あんまり好きじゃないから。 顔を上げた彼は、案の定。 「まとわりつくなって、言わなかったか?」 すごく冷たい目と、声で、その子と対峙した。 彼の隣で喋っていた男の子も、ひぇって怯えていた気がする。 けど、俺は、それどころじゃなくて。 (うそ、やばい、なに、勃った、、、) 「ちゃんと振っただろ。その後関わろうとしてくるのは迷惑だって言ったよな?」 「ぅ、で、でも」 「でもじゃねぇ。俺がおまえに惚れることはない。」 いいな。いいな、あの子。 俺も、あの人に、捕われたい。 「失せろ。」 (や、ば。イキかけた。あぶな。) 多分俺、その時、とんでもない顔してたと思う。慌てて俯いたけど、隠せてたかな。 早く、早く終わって。それ、終わってくれないと、動けない雰囲気だから。 バクバク言う心臓を宥めていたら、やっと女の子が、去っていったらしい。 クラスの雰囲気が、緩んだ。 俺は、隣の子に声を掛けた。 「ごめん、体調悪いから、早退するって言っておいてくれないか。」 快くおっけーしてくれた。俺は荷物を持って、そそくさとクラスから立ち去った。 まどろっこしいと思いながら、保健室で手続きをして、飛んで家に帰った。 『失せろ』 そう言った彼を思い出して、自室で一回抜いた。 床に座ったまま、ティッシュをゴミ箱に投げ捨てる。 後ろにあるベッドに寄りかかって、腕を布団に投げ出した。 「はぁっ…」 一度落ち着いて、思ったことは。 「マジで、俺、馬鹿すぎる……」 男を好きになって。俺長男なのに。情けない。 それだけでも泣きそうだったのに。 あの、押しつぶされそうな圧力に欲情したとか。マジモンのドMじゃん。家族になんて言えばいいんだ……言わないけど……墓場まで持っていくけど……はぁ。 俺、なんで彼と同じクラスなんだろ。 今まではラッキーって思ってたけど、明日から、どうしよう。

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