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帰り道。
「信、家どっちの方?」
「駅の方だよ。」
「この後、時間ある?」
「あるよ。特に予定ないから。」
「じゃあ、俺んち来いよ。」
あからさまな誘いを投げた。
そしたら、信の化けの皮が、剥がれた。
ぽかーん、と口開けて。
動揺したように瞳が揺れ出して、顔が朱色に染まって、腕も震え出した。
午後の授業、澄ました顔してたのに。
変化ありすぎ。
けど、そーゆーところが気に入ってる。
すげぇイジメたい。
わざと一歩、信に近づく。
「来るだろ?」
信は、俺の目を精一杯見上げて、こくん、と頷いた。
フッと、俺は笑ってしまった。
「目ぇ逸らさないで、イイ子だ。」
手を伸ばして頭を撫でる。
ついでに、背中に手を回して歩けと押してやる。
で、俺はさっさと進行方向を向いていた。
が、
「む、つき、くんっ、…」
なんでか、信がぼろ泣きしていた。
「……は?」
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