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第12話
「ただいまーっす!」
「…おう。おかえりー。」
やっべ。寝てた。
時計を見れば先程見た時から30分ほど時間が進んでいた。
「お前やけに長かったじゃねぇか」
凝り固まった体をほぐすようにぐーっと伸びをするとそれに合わせて椅子も一緒にグググっと鈍い音を立てて軋む。
「さっき日和ちゃんに会ったんすよ」
伊藤は日和が男なことは理解しているがちゃん付けで呼ぶ。
「それでこれ。預かったんすけど」
そう言って取り出したのは見慣れたキーケース。それは日和に貸したものだった。
「別にいいと思いますけど日和ちゃんのことやけにかまいますよね」
「ん?そうか?」
それをポケットにしまう。
「そうっすよ。信用してるのはわかりますし日和ちゃんが何もしないこともわかってますけど自分がいないのに家に上げて。警察なのに不用心っすね」
呆れたように隣の椅子をひいてどかっと座る。
「確かに不用心かもしれんが日和だしなぁ、弟みたいなもんだ」
実家で暮らす18歳の末妹の顔を思い出す。
俺が離島に行くって言った時にわんわん泣いてたな。
「それって、あれっすか!?クズ男がキープしてる女の子のこと『こいつは妹みたいなもん』って言うやつ!!!」
不潔っす!そんな男だったなんて!見損なったっす!!
わーわー、喚いて自分の体を両腕で抱きしめ俺から精一杯距離を取る伊藤を無視して冷凍庫からアイスを取り出して食べた。
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