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第11話

 「俺巡回行ってくるっす!」 飯も食べ終わって奥の畳でダラダラと過ごすが、もうそんな時間か。 「あぁ、行ってこい」  島のご老人たちは基本的に鍵を閉めない。良くも悪くも同じ島民を信じているからだろう。俺たち警官はその信頼と安心安全を守るために泥棒なんてさせてはいけない。と思っている。そのため巡回は交代に結構な頻度で行う。  遠くで夜なのに元気に鳴いている蝉の声に少し錆びついた交番の自転車のカラカラカラと言う音が混じって聞こえなくなった。  一人で交番にいてもやることは特にない。  そう言えば今年も大学での出し物で学校前の道路を使用する許可を取りに教授らが来ていたな。と思い出し書類に手をつけた。 この手の書類は基本的に毎回書くことは同じなので別に頭を働かせる必要がない。  そうなると考えることはまた別で、俺は脳内で日和がちゃんと飯を食えたのかとか、無事に家に帰れたのかとかそんなことばかり考えていた。  そういえば日和は大学でなんの出し物やるんだろうか。  始めてしまうと意外と溜まっていた書類に案外時間がかかっていたのか時計を見れば既に2時間経っていた。 「あいつ遅いな…」

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