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第14話
side-?-
まったく。なんであたしがこんなとこまで来ないといけないのよ。
蒸し蒸ししててせっかくセットした前髪がうねってしょうがないじゃないの。
無駄にキラキラしてる海もなんだかイライラする。そんなに太陽を反射させないでちょうだい!日焼けしちゃうじゃないの!
これもそれも全部お兄ちゃんのせいなんだから。
あたしは今南の小さな離島にきていた。島には何にもなくて住んでいる人もお年寄りばっかり。こんなところに交番なんてなくたっていいんじゃないの?
無駄に南国感出してるヤシの木も鬱陶しい。フェリーを降りればそこはただの漁港で何にもない。
ふと少し離れた漁船に目を向ければそこから私と同じくらいの歳の男の子が発泡スチロールの箱を重そうに抱えて降りてきた。
「ありがとうございました!」
男の子はフラフラと覚束ない足取りで私の方に向かってくる。
なんだか見ていて危なっかしいわね。
「大丈夫?」
つい声をかけてしまった。
男の子は私に気が付いていなかったのかびっくりした顔でこちらを見た。
「あ、えっと。大丈夫です。」
そう言った瞬間に汗で滑ったのか「わっ!」と箱を落としそうになっている。
「それ、どこまで運べばいいの?」
なんだか放っておけなくて気がつけばあたしは男の子を手伝って一緒に家まで荷物を運んでいた。
持ってみてわかったが中身はきっと魚じゃないかしら。さっきから中からチャプチャプと水が揺られる音がしているしそれにこの子は漁船から降りてきた。
ついたのは錆びついた外階段のある二階建てのセキュリティのセの字もないようなアパートだった。
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