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第3話
綺麗に爪が整えられた指が、使い古したバックルを外す。そういえば俺のスラックスは最後にいつクリーニングに持って行っただろう?彼には申し訳ないことをしたかなと思うが、綺麗なものを汚すのは楽しい。
ジッパーを下ろすと、彼は何も考えまいとする様に、するすると下着に手をかける。一瞬息を詰め、そのまま目を瞬いた。
「デカイだろ、あいつのは硬くて太いらしいけど、俺のは長いんだ」
すでに硬くなり始めているそれを、背後からの舌打ちに急かされるように口に含む。舌を思いっきり突き出し、喉の奥を開けて、俺を迎え入れようとしてくれる。苦しそうな声を上げながら、なんとか俺のものを咥え込もうとしている。
「手で扱いて」
じゅぷ、じゅぷと彼がえづくたびに唾液が漏れて、ペニスが濡れる。それを掬わせて、ひんやりとした指でしごかせる。
喉が鳴る、唾液が弾け、空気が潰れる。ゴボゴボと喉が鳴る音に興奮して、可愛い栗毛に指を絡ませる。
「サイコー、喉マンとして優秀すぎる」
ツァーリは胸に手を当てて目を伏せて見せる。ガツガツと腰を振ると、喉が拒否反応を出して痙攣するのを楽しむ。涙と鼻水と涎で汚れた顔を見下ろすと、ツァーリのが手招きするのが見える。
ペニスを咥えさせたまま、一歩足を進めると、苦しそうな喘ぎ声をあげて後退る。
「尻を上げろ」
体勢的に苦しくて仕方なくなってしまうのか、なかなか応じられないのが可哀想なので(本当はもっとぐちゃぐちゃなところが見たいので、だが)髪に絡めた指を解いて、指を拾う。腰に回して、より奥まで咥えさせると、ツァーリは床に落ちた尻尾を引いて、腰を上げさせる。
奥深くまで連なってるおもちゃをズルズルと引くと、口の方が疎かになって、すっかりと勃起したペニスが宙に放り出される。
「アレグ、寒いって」
「お客様に失礼だろう。しっかりしなさい」
「ひ、いっっーーっ!もうしわけ、ございませんっ、」
体の力ががくりと抜けているのに、俺が手を取っているせいで床にへばることすらできない。口から外れたペニスを咥えられるほど体を起こせず、なんとか舌で慰めようとしてくれるのがいじらしい。赤子のように舌で吸い付いて、金玉まで舌で転がしてくれる。
アレグの尻尾が抜かれるたびに体をわななかせ、どんどん膝の間隔が開いていく。俺に縋り付く指にも力が入り、何度も射精しそうな素振りをしては狂いそうに頭を振る。
「ん……、ん、ぁ、や、……だした、だしたい、おゆるし、お許しください、」
まるで神に救いを求めるように乞うている様子は、悪魔に生贄に出されている天使のようでようで可愛らしい。それに、そろそろ俺も限界だ。
「アレグ、お前を犯したいんだけど」
耳を掴んで上を向かせると、ドロドロに溶けた顔でこちらを見上げる。
「僕でよろしければ……っ、おつかい、ください……」
ツァーリが一気にバイブを尻から抜いて尻を押すと、甲高い悲鳴を上げてアレグの身体がどさりと前に倒れる。完全に身体を開いたまま、ヒクヒクと床でのたうち回るのをニヤニヤしながら見下ろす。へこへこと床にペニスを擦り付けようとする腰を、在らん限りの力で自制して、俺の方へと尻を向ける。
「口も寂しいだろう」
「ありがと、ございます」
若くて美しい体の男を、言葉だけで捻じ伏せられるのは暗い愉悦だ。まあ、どんなに彼が鍛えたとて彼の主人には決して敵うまい。血に濡れた手の持ち主の手形が、アレグの急所にのみ散りばめられる。
アレグは一人がけのソファににじり寄り、ツァーリの膝の間に収まってからゆっくりと尻を上げた。
「卑しい僕のお尻に、お慈悲を」
ずっと使い込まれていたせいで、赤く腫れているアナルが息付いているように蠢く。下から銀色が煌めいて、体の外側ではわからない、男に服従させられている証が晒される。
唾液か、胃液かわからないものでぬるぬるとしている俺のペニスは、収まる場所を探していたので、それにぴたりと亀頭を当てる。ぎゅっと括約筋が締まると、期待にブルリと身体が震える。
「あ、あっーー!!!ん、ん、はっ……はっ……、」
ずるり、と隙間をこじ開けて挿入したペニスを一気に押し込む。暖かくうねった洞が、期待にガチガチにのけぞったペニスを包み込み、気持ちよさに嘆息する。
「主人を差し置いて、気持ち良くなる気か?」
「もうしわけ、ございませ、っ、はっ、っ!!!」
震える手でスラックスからペニスを取り出し、咥えようとするのをわざと邪魔する。舌打ちをする主人に怯え、なんとか口に含むと、顔を真っ赤にしながら奉仕し始める。
部屋は彼が裸で過ごせるほど快適な温度に保たれていたが、さすがにこれだけ弄られるとまるで湯上がりのように濡れる。息が苦しいのか、惨めな音を響かせながらなんとか息をつぐアレグのペニスを握ると、ひいっと息を呑んで、歯がツァーリのペニスに食い込んだらしい。ツァーリが無表情に足でブジーを押し込む。
「ギイイイッ!いた、あっ、あっーーー!」
ソファーに食い込んだ爪が白くなるほど握りしめる。それでも彼は何とか踏みとどまって、絶え絶えに謝罪を繰り返した。
「申し訳、申し訳ございません、おゆるしを……ちゃんとします、っ、ーーーっ、」
「腰をそんなにヘコヘコとさせながら謝罪されてもな」
「お前は股間を剥き出しにして威張ってもな」
「余計なことを言うと、こいつをもう貸さないぞ」
「申し訳ございません、二度と言いません」
ふざけあう俺たちの下で、アレグが何とか主人の機嫌を取り持とうと、手練手管を駆使して股間に吸い付いている。俺が突き上げる度に、ブジーからはたらたらと常に先走りが伝い、アレグの苦しげなうめきが充満する。奥の方も開いてきたので、グラインドを徐々に大きくしていく。完全に膝は開いて、男を受け入れられる状態だというのに、彼の最奥はまだ未到達らしい。
「結腸、ぶち抜いても、いいか?」
「自慢か?」
「太さじゃ敵わないよ」
軽く頷いたのをいいことに、腰をがっしりと掴んで奥へ奥へと押し進める。もう少しだと言う感覚はあるが、この際これを忘れられない経験にしてやりたい。
「結腸まで犯させてくれたら、ブジー抜いてやるから、力抜いて」
そんなことを言っても彼には聞こえてないのかもしれない。喉の奥いっぱいまでペニスを咥えて、先走りの一滴まで逃さないように吸い上げている。
わずかに足をこちらに引いて、再びガツガツと貪り始めると、ペニスから口を離してお世辞にも可愛らしいとはいえない喘ぎ声を上げ始めた。痛いのか、と聞くと、コクコクと頷いて、こちらの同情を引こうとしてるのかもしれない。
もう少し、もう少しで彼の奥へと抜けるだろう。浅く浅く突いて、身体が緩み始める。もう少し、もう少し。
「っ?!えっ?ーーーーーーあ、あっ、へん、へん、やだ、やだっ!!!っーーーーー」
腰の骨が骨とぶつかる音がした。急に放り出されたように奥に抜け、ヒューストン弁に亀頭が引っかかって気持ちいい。ぐぽ、ぐぽ、という鈍い音と、何が起きてるかわからないアレグが、拒絶をし、意味をなさない言葉で泣いているのが可愛くて、もうすぐ果てそうになる。
もう入り口から奥までの道筋は付いている。ガツガツと奥まで何度も出し入れして、陰毛がめり込むまで腰を押し付けると、結腸の先で射精する。
「っあー、最高ッ」
「あつ、あつい、おく……へん、」
ゆっくりと腰を打ち付けながら、ずるりずるりとアレグのブジーを引き抜いていく。期待するように甲高くなる声を聞きながら、もう一度前立腺を叩き潰すように穿ち始める。
「いく、いぐ、いっちゃ、ごしゅじ、さまっ、おねが、ごしゅじんしゃまっーーー!へん、になる、へん、やら、っーーーごしゅじんさま、たすけーーーー!」
こんな時までちゃんと強請るのか、と感心しながら、ペニスを握ってやると弾けたように吐精する。まるで魂が抜けるような声と共に、どろどろとした濃いものが、濃い青のラグにぼたぼたと落ちる。
ああ、気持ちいい。誰にも踏み荒らされていない腹の奥にザーメンをぶちまけて、こいつはきっと明日腹を壊すのだろう。ゆるゆると残滓を吐き出していると、ツァーリはひどく不機嫌そうなため息をついた。
「私は一言も許可してないのに、出したのか?」
冷たい声が惚けたアレグに鞭を打つ。当の彼は俺と繋がったまま、上半身は床にペトリとの伸びてまだ緩く射精をしている。
「続け様に前立腺を叩き潰してやれ、こいつはもう潮を吹くからな。射精しても止めずに、前立腺をすり潰して亀頭を擦り続けると、女みたいに潮を吹く。立場を思い知らせるのにはちょうどいいさ」
「ご主人、お許しください!」
必死に体制を立て直して、熱心にイラマチオをして機嫌を取り戻そうとするのを見ながら、俺は一度身体を抜いた。
ぽっかりと空いた穴からどろりと精子が流れ出すのは、なかなかどうして見応えがある。
ツァーリは自分の出したものをきっちりとアレグに処理させているらしく、皮の間まで丁寧に舌で清めさせてからきっちりとチャックまで上げさせている。
自分は介さずと言ったつもりか、言いつけを守れなかった(ひどく不条理な言いつけで、誰も守れるとは思ってはいなかったものだが)アレグが平身低頭謝っているのに見向きもしない。
「アレグ、尻上げて。俺まだ満足してないから」
蛙のようにぺたりと座り込んだ尻を持ち上げさせ、アナル用の粘度の高いローションをたっぷりと注ぎ込んでから二、三回抜いてからペニスを突っ込む。尻だけあげているせいで、ツァーリの爪先にキスしているように見えるのだ。
「俺が満足してないし、まだご主人様からも許可もらってないのに出したよね」
「もうしわけ、ございませんっ!このようなことは、二度と、二度と致しません。お願いします、お慈悲を!」
「男の潮吹き、見たことないから見せてよ」
俺に犯されながらツァーリに懇願する姿が可愛らしい。滑りが良くなった中をガツガツと貪る。忘れていたピアスの存在を思い出し、そこを摩ると悲鳴が上がる。
「っ?!ーーー、ふぁ、あっ、あっ、きもち、気持ちいい、っ、やだ、やだ、出ちゃう、や、やめて!」
「もういくらでもいっていいって。赤玉出るまでだせよ」
前立腺を穿ちながら、一定のリズムで責め立てるとまた身体を震わせて精子を吐き出す。そのままぐちゃぐちゃと、ほぼ垂直に熟れた穴を犯す。前立腺を目掛け、体重をかけると押し出されるようにまた濃い液だまりが出る。
濃いローションを手に塗してペニスを握ると、そのまま亀頭をくちくちと撫でるとまたブワッと手に精液が広がる。若いというのはいいな、と思いながら執拗に前から後ろから攻め続けると、泣きながら慈悲を乞う。
「も、でませ、……、いたい、痛いんです」
連続した射精に、手の平に広がる精液がだいぶ薄くなった頃、息絶え絶えに申告された。
「でも、潮吹いたら許してもらえるんじゃないの?」
「それは……」
「だって、一回約束破ってるだろ?次は相手は俺じゃなくなって、『保護動物市場』でお試しに出されるかもしれないぞ?」
唇を噛んで屈辱に耐える。父の前で犯され、家族を人質に取った相手に全てを握られる。公然への脅しのネタとして記事にされ、身体を勝手に貸し出されて惨めな慈悲を乞う。その葛藤を思うと、彼をもっと苦しめたくなってしまうのは俺がツァーリ側の人間だからだろうか。
「もっ、もっと、虐めてください、僕が、潮、吹けるように……、たくさんいじめてください」
両手が自分の尻を左右に開く。言われなくても、と言わんばかりに犯し、貪り、亀頭を擦り続けると、声が甘い甲高いものになる。
「くる、っ、出そう、出ちゃう、っ、つぁ、変になる、ごしゅじ、ごしゅじんさま、出ちゃう、っあ!!!!」
バシャバシャと、こちらがびっくりするような量の透明なものが手にかかる。身体が痙攣して、アレグの下のラグは色をすっかりと変えている。
「うわ、すげぇ。びしゃびしゃになってる」
「もうしわけごさいません、っ、」
泣きながら身体を濡らし、自分が守ることができないと分かっていても約束をする。何で可愛らしい生き物なのだろう!熱く痙攣する直腸に、最後の一回とばかりに刺し貫くと、存分にザーメンを注ぎ込んだ。
「ふー、この子は最高だな!」
モノのようにペニスを抜き去って突き放すと、アレグは糸が切れたように床に倒れ込む。自分で濡らしたラグの上で、脇腹が小刻みに痙攣している。
「まだまだ躾がいがあるが、可愛いものだろう?哀れで健気で、思わず全てを与えてあげたくなってしまう」
「全てを取り上げ、全てを与える、ってところだろ」
「まあな」
激しく肩で息をしている体が、ようやく落ち着いてなんとか起きあがろうとしているのを見ながら俺たちは今回のことについて話し始めた。
「で、いつものようにすればいいのか?それともより、具体的に?」
「いや、いつものようなのでいい。誰も信じない馬鹿馬鹿しい記事。でも調べると、確かに外泊先は家ではない。長期休暇は誰にも知られずにひっそりと姿を消すことがわかるように」
「はいはい」
「報酬はこれで」
「もらったら二度とこのこと遊べない?」
座り込んだ俺の股間に顔を埋め、自分の欲を満たしてくれたことに対する礼を述べて、舌でペニスを掃除してくれているアレグの髪に指を絡めて聞く。
「また呼んでやる。お前とばかり遊ばせると、結腸までガバガバになる」
「いいだろ、見た目は清楚、腹の中はザーメン塗れなんて最高の子猫ちゃんだ」
「高官や著名人の専用のペットラウンジがあるは知っているか?」
「あ、それはガセネタだと思っていた。確か……イギリス辺りの実業家の飼う犬について聞いた時にでてきたな。ペットだって馬鹿だったら入れないと」
「そうなんだ。これを連れて行くのには時間がかかるが、ようやくいいのが見つかったと思ってな。ーーーアレグ、酒を用意しろ」
ツァーリはアレグに給仕を命じた。指一本とて動かすのが辛そうな状態で、俺たちにサーヴしてくれるまでにはしばらく時間がかかるだろう。
夜はまだまだ長く、冬の休みはまだまだ長い。そう、アレグにとっては長すぎるほど。
「ああ、楽しみだな」
俺はにんまりと笑って、ツァーリとの友情に感謝した。そのうち、ラウンジとやらにも連れて行ってもらおう。こんなペットなら何匹見たって大歓迎だ。
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