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No.1 僥倖(ぎょうこう)

夕立や軒に飛び込む美少年。 夏の風物詩となったこの光景。何度見ても飽くことがない。声をかけることなく、ただ見つめるだけ。それでいい、それだけで十分だった。 「貴方も雨宿りですか?」 彼の柔らかな瞳がこちらに向けられる。驚愕に言葉を失うと、彼は笑いながら言った。 「俺も死んでますから」

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