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No.9 雨だれに化かされたのは誰ぞ

追い立てるようにして降り出した雨。 軒下に滑り込んできた若い濡れ鼠は大層好みの狐顔だった。 「お邪魔してます」 第一印象が近寄り難いと言われる為意識して微笑む。 「宜しければ中で雨宿りでも」 頬を朱に染めた若狐が手招きし、後に続いた。 現在、村で評判の美丈夫が行方不明だと大騒ぎである。

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