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第1話
少し俺の話をしようと思う。
あの人に出会うまでの話を。
俺の母親は昔からろくに学校にも行かずに非行ばかりしていたようで男関係にだらしなかった。
そのため俺は実の父親が一体誰なのかも知らない。
俺の生まれ育った家は母との二人暮らしだと言うのに何故か広くて綺麗で幼いながら母がなぜこの家を買えたのか時々疑問に思っていた。
母の仕事はよくわからないけど化粧台の前にいつもより長く座っている時はその日は帰ってこない。と言う合図で化粧が終わると「未央、おいで」と言って俺に千円札を握らせて「これでご飯買いなさい」って言ってくるんだ。
俺は別に虐待とか受けてたわけでもないけど特別愛されていたと感じることもなかったし幼稚園にも小学校にも行ったことがなかった。
これは後から知ったけど俺には戸籍がなかった。
そう言う子供は実はこの国では特別珍しいことではないらしい。
俺の世界はこの家とご飯を買いに行く近所のコンビニだけだった。
ある日コンビニでいつも通り買い物をしていたらレジの男の人に呼び止められて何故か事務所に連れて行かれた。
そこで俺はその店員と色々話していたうちに警察が来た。
どうやら俺がいつも遅い時間に一人で飯を買いにくるから不審に思った店員が通報したようだった。
俺はすぐに施設に入れられた。
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