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第4話

『失礼する』 『はい。どうぞ』 帝は予告通り麗の 部屋に来た。 『お前を忘れた  事はなかった』 そう、帝は告げると 麗を抱き締めた。 『み、みかど?やめっ』 『どうして、我を避ける?  我はこんなにも愛して  いるのに』 『あ、い?帝の気持ちは  ありがたいです。  でも、私には()いている  人が・・』 麗は、嘘をついた。 女官である自分が 寵愛を受けるなど あってはならない からだ。 『好きな人?それは誰だ!!  答えろ』 『それは・・  あなたには関係ありません!!  私は明日、里に帰ります』 『里に帰る?帰す訳なかろう。  さぁ、好いている人の名を  答えよ』 『・・・』 『麗、御主(おぬし)我に  隠し事をする気だな。  意地でも探すぞ?!』 『帝、すみません。  嘘をつきました』 『嘘?それは(まこと)か。  信じられない。証明して  みせよ』 帝はそう言うと、麗に 口づけをしていた。 『えっ、んん』 『接吻はした事はないのか?  本当に好いている人は  いないのだな』 『は、い。いません』 『分かった。信じよう。  しかし、お前は我に  嘘をついた。それ  なりの罰を与える』 『はい。何でも受けます』 『では、我の皇后になれ』 『はい?私は男です。  それに・・』 皇后は女性がなると 昔から決まっていた。 『あの、薬を使えば  いい』 『あ、の・・』 あの薬。女性が減少したため 男性でも女性になれる薬が 外国から入ってきたのである。 『しかし、周りから非難され  かねません。私の任期は  3年と決まって・・』 『それは、赦さぬ!!  では、こうしよう。  御主を女御にする』 『女御、ですか』 『あぁ、それなら大丈夫だろ。  お前は我の近くに置く』 『はい。分かりました』 (これからどうなるんだろう) 麗は不安で胸がいっぱいだった。

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