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第16話

 理一が湯の中に白濁を吐きだすと、その余韻でくったりと一総の背中に寄りかかり荒い息を整えようとする。  一総の肩に頭を預ける理一の耳を一総が舐める。  イッたばかりで敏感になている理一の体は一総が耳をねぶる度に小刻みにビクビクと震えた。 「んー、体は温ったまったかな。」  独り言のように一総が言うとひょいと理一を抱え上げた。  所謂お姫様抱っこと呼ばれるその体制に理一は慌てるが「落とすぞ。」という言葉に渋々静かにする。 「先輩、180cm越えの男抱え上げるって案外力があるんすね。」  いたたまれない気持ちを紛らわせるために理一は口を開いた。 「100kgの巨漢だったとしてもエスコートできないと花島とは呼べないからな。」  一総は事もなげに言った。 「お前は軽い方だろう。何食うとこんなに育ってるのに、こんなに軽くなるんだよ。無駄な物は何も付いてないって体だろう、コレ。」  お互い真っ裸で何もまとっていない姿のままなので、理一は少し身じろいだ。 「普通に食べてるっすよ。」  興味なさそうに理一は返した。  恐らく九十九としての血がそうさせるのだろう、体は酷く鍛えやすい。  そこにきて力を制御するために理一は鍛錬を欠かしていない。  だから、その体には余分な脂肪等はろくについてはいなかった。  しかし、それが何だというのだろう。自分の体にそれほど興味が抱け無い理一は不思議だった。  二人はそのまま寝室へと向かったそのままベッドに下ろされ、理一は一総にのしかかられた。  そのままちゅっちゅっと触れるだけのキスを顔中に落とされる。  まるで恋人同士の様な戯れにむず痒い様な感覚になった。  だが、それを止めるのも何だかもったいない気がして理一は何も切り出す事が出来なかった。  頬に額に触れていた一総の唇は、最後に理一の唇に自分のそれを落とすとそのまま唇を割り開いて舌を口の中に入れてクチュクチュとかき混ぜた。  まるで唾液の交換を楽しむ様なキスをしてから一総が口を離した時二人の唇の間を唾液の糸がきらりと銀色に光った。  理一が息も絶え絶えなのにも関わらず口を開いた。 「今日も随分とお優しいみたいっすけど?」  減らず口、理一は自分自身でもそう思った。  だが、この甘ったるい雰囲気の中何か言わなければ自分を保てない様な気がしたのだ。 「ホント木戸って催淫効果が効きにくいな。」 「充分効いてるっすよ。頭チカチカする。」  若干ぼーっとした様子で理一は言った。  特に今日は疲れているので最初の時より良く効いている気がする。 「で、何でそんなに優しいんすか?憐れんでるって事ですか?」  最後の一言は本気で思っていた訳ではない。  だが、するりと口をついて出た。失言だ、直ぐに理一は気がついて訂正しようとするが、鎖 骨を撫でられてビクついてしまい意味のある言葉は出せなかった。  見上げた先には酷く面白そうな顔をした一総が居た。 「憐れんでなんて、いねーよ。今回も前回も。 今日優しいって言うのならアレだ。 前立腺の初期化をしようと思ってるから体に力が入らない方が良いからだ。」  妖艶に笑いながら一総入った。 「初期化?」  耳慣れぬ言葉に理一は聞き返した。 「ああ、知らないのか。後ろで感じやすくするためのテクニックがあるんだよ。」 「へえ、日常生活に影響が無いやつにしてもらえれば俺は何でもいいっすけど。」  理一が返すと、それは良かったと一総はベッドサイドから何かを取りだした。  管の様なコードの様なそれを取り出すと、口角を上げて 「さあ、始めようか。」 と面白そうに言った。 「何なんすかそれ。」  恐る恐る理一が聞くと一総は笑顔のまま答えた。 「カテーテルだけど?」 「は?」 「大丈夫、気持ち良くなるから。」  ハートマークでも付きそうなノリで一総は言ったが、いや、カテーテルってあれだろ!?と理一はジリジリと、ずり上がろうとしたが、催淫効果の為かシーツを背中がこすりあう事でさえも快感となって押し寄せて来ていたので上手く逃げる事が出来ない。 「別に痛くもさせないし、花島の俺がやるんだ、日常生活に支障をきたす様なヘマはしない。 ただ、木戸は喘いでいれば良いから、とっとと俺に体をゆだねろ。」  ジッと見つめられながら言われ、渋々理一は体から力を抜いた。

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