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第61話

 そこには槍沢 昭則がいた。  恐らく騒ぎを聞きつけたのだろう。 「御仁に御用があるのであれば、こちらにお願いします。 そいつは現当主の息子ではありますが、特に力がある訳ではありませんよ。」  努めて丁寧に、けれど理一への侮蔑は忘れずに槍沢は白崎の妹に言った。 「黒鬼さんとお話することはありませんよ?」  不思議そうに返す少女に槍沢は舌打ちをした。 「一族の全権を持つことになる人間以外と、お話ししても意味が無いじゃないですか。」  ニコリと笑顔を浮かべ少女が言う。 「木戸の全権なんぞ、そいつに渡るわけがないだろう。」  槍沢の声には明確な苛立ちが混じっていた。 「少なくとも場所を移すべきだろう。 生徒会の権限で使える部屋でいいか?」  静かに一総がそう言った。 「アイラちゃんだっけ。それでいい? ……あと悪いんだけどライ、木戸雷也も同席させて欲しい。」  理一がそう言うともう一度槍沢の舌打ちが響いた。

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