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第1話《Ⅰ章》俺は姫①
「今日はありがとう。姫のお蔭で助かったよ」
「いえ。こちらこそ、ありがとうございます。あの……」
「ん?どうしたの?」
「えっと」
「思った事があるなら言ってみて」
カラコンをはめていないのに、奥に深い藍色を秘めている先輩の瞳。
綺麗だ。
「先輩ってハーフですか」
「えっ?」
ななっ、なにを!?
心の声がダダ漏れてしまった★
先輩がビックリしてるじゃないか。先輩を困らせてしまってどうするんだ、俺!
「俺は純日本人だ。ハーフじゃないよ」
「あの、そそそ、そうじゃなくって。それは分かってます」
……って。
「分かってる事聞いたら失礼じゃないかァァッ!」
「落ち着いて。どーどー」
ううう、優しい先輩に背中さすられている。
「吸ってー、吐いてー、吸ってー。深呼吸だよ。すーはー」
「すーはー」
「すーはー」
「すーはー」
「すっすっはー」
「すっすっはー」
「へいへいほー」
「へいへいほー」
「ヒッヒッフー」
「ヒッヒッフー」
………………あれ?
なんか違くない?
「ヒッヒッフー??」
「姫の子どもだったら、可愛いだろうね」
俺……
子ども……
産む……
「キャアアアァァァァ〜!!」
「姫!頭から湯気が!」
「俺っ、子ども、うううっ、うっむ〜」
「アァ、また湯気が出た!」
「子ども〜、先輩の〜」
「しっかりするんだ、姫、姫!」
先輩の声が遠くで聞こえた。
視界が暗くなっていくのは、どうして?
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