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第2話《Ⅰ章》俺は姫②

「……ひめ、大丈夫?姫」 「う、うぅ〜」  あれ?俺…… 「良かった、気がついたね」 「えっと……」  そうだ。俺、倒れて……  俺を覗き込む先輩の目が、心配そうに揺れている。  先輩の顔の上に天井が見える。 (ん?)  天井……なのだろうか。  天井にしては色が暗い。それに近い。  部屋の天井、こんなに低かったかな。 「ごめんね、俺のベッドに寝かした」  ………………  ………………  ……………… 「…………………………へ」 「姫は二段ベッドの上だから。運ぶ自信はあったけど、万が一落とすといけないなぁと思って、下のベッドに寝かせたよ」  ……てことは〜 「こここ、ここっ」 「こけこっこ」 「こけこけ」 「こけこっこ」 「こけこー!!」 「アハハハ。姫、また何か産んでくれそうだね」 (産む……)  うむ、うむ、産むーッ (子ども!!) 「おっと」 「わっ」  ペチン  何か冷たい物がおでこに張り付いた。 「ダメだよ。また倒れたら」  額から先輩の手が離れていく。 「冷えピタシート。保健室でもらってきた」  おでこがひんやり気持ちいい。  でも、胸のドキドキがおさまらない。先輩の手が離れても。おでこの冷えピタシートは先輩が貼ってくれたやつ……  プシュウー 「顔が赤い。熱があるのかな」 「だだ、大丈夫です」 「ほんとうに?」 「ほんとうに、ほんとうです!」 「そうだね」 「わっ」 「少し熱いけど、熱はないようだ」  先輩の手がおでこに触れている。 「倒れないでね。もしまた倒れたら、今度はキスで起こさなくちゃいけないから」  こつん  額と額をこっつんこ。 「お返事は?シンデレラ」 「………」 「………」 「………」  ………………  ………………  ……………… 「あ、ごめん。キスで目覚めるのは白雪姫だった」 「………」 「ごめんね、姫繋がりで面白いかなと思ったんだけど。王子が俺で、俺とキスじゃセクハラだよね」 「先輩が王子様!!」  王子様と結婚!! 「キャアアアァァァァーッ!!」 「姫!!」  ガシイッ  両肩を掴まれた。 「急に起き上がってはいけないよ。ここは二段ベッドの下だから、頭を打つ」 「はいっ」 「あと倒れてもいけない。倒れたら、俺とキスだ」 「はいっ」  ………………はい? (先輩と) 「キスぅぅぅ〜」 「気をしっかり持って」 「はい」 「倒れたらキスするよ」 「はい」 「じゃあ、落ち着いて深呼吸だよ。吸ってー、吐いてー、吸ってー」 「すー」 「吐いてー」 「はー」 「すーはー」 「すーはー」 「すっすっはー」 「すっすっはー」 「へいへいほー」 「へいへいほー」 「ヒッヒッフー」 「ヒッヒッフー」  あれ?このクダリ、さっきもなかった? 「姫、産まれそうだね♪」 「キャアアアァァァァ〜〜!!」

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