33 / 78
第33話《Ⅳ章》訪問者は突然に⑩
「あれ?こういうのとちゃうかった?」
こくこく。頷く。
「ちゃうちゃう」
俺もつられてないか?
「そかそか」
こくこく。お狐様も頷く。
「ゴメンな。驚かせてしもた」
……関西弁、直す気ないぞ。お狐様。
「せやけどお稲荷さんの総本山は京都の伏見稲荷やから、これが本来の姿やで」
「ああー、なるほど」
ぽんっ。相槌。
……って、いいのか。俺?
「それでお主、ここで何をしておった。随分急いでいたみたいだが」
「今更喋り方変えたって騙されませんからね」
「何を言っておる?お主」
「先輩なんでしょ」
「だから何の事じゃ」
「狐のお面被ってたって先輩なんでしょ。この白い狩衣、脱衣所に置いてあったんだから」
「ほう、ならば……」
「わっ、何するんですか」
「お主の目で確かめるといい」
「なんでっ!?」
視線が高い。
お狐様の顔が近い。
これはどう見たって。どう考えたって。
お姫様抱っこ!!
「お主を抱くのに理由がいるのか」
ともだちにシェアしよう!