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第33話《Ⅳ章》訪問者は突然に⑩

「あれ?こういうのとちゃうかった?」  こくこく。頷く。 「ちゃうちゃう」  俺もつられてないか? 「そかそか」  こくこく。お狐様も頷く。 「ゴメンな。驚かせてしもた」  ……関西弁、直す気ないぞ。お狐様。 「せやけどお稲荷さんの総本山は京都の伏見稲荷やから、これが本来の姿やで」 「ああー、なるほど」  ぽんっ。相槌。  ……って、いいのか。俺? 「それでお主、ここで何をしておった。随分急いでいたみたいだが」 「今更喋り方変えたって騙されませんからね」 「何を言っておる?お主」 「先輩なんでしょ」 「だから何の事じゃ」 「狐のお面被ってたって先輩なんでしょ。この白い狩衣、脱衣所に置いてあったんだから」 「ほう、ならば……」 「わっ、何するんですか」 「お主の目で確かめるといい」 「なんでっ!?」  視線が高い。  お狐様の顔が近い。  これはどう見たって。どう考えたって。  お姫様抱っこ!! 「お主を抱くのに理由がいるのか」

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