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第36話

「……好きだったんだ。」 うん。そこは予測していた。 罰ゲームじゃないと知った後、可能性としてはそんなものしか浮かばなかった。 だけど、少なくともあんな告白普通はしない。 同性だからという話ではなく、普通はしない。 「なんで、好きな相手への告白がアレだったんだよ。」 感性がやたらとおかしいか、それとも単なる馬鹿なのか。 どちらなのかもよく分からない。 「手酷く、振られればいいと思っていた。 もしかしたらなんて希望が持てない位ばっさりと振られたいと思ってた。」 絞り出すような声だった。 それがどうしてアレになるのかはよく分からない。 馬鹿だなと思う。 本当に馬鹿な男だ。 傷つきたいって言ってるみたいに聞える。 だって、普通に好きだって言ったって多分お断りしていただろう。 振られたいのなら普通に振られればいい。 「別に、そういう願望が強くあった訳じゃなくてあんなこと言ってみたってことか?」 「いや。」 百目鬼が目を逸らす。 ますます本当の馬鹿だと思う。 馬鹿だ。 なんでそんな馬鹿なことしてるのか正直よく分からない。 破滅願望に近いその感情を乗せた言葉に嘘はないと聞いて、ばっかじゃねーのと思う。 確かにそう思うのに、少しだけ百目鬼がいじらしくてかわいいと思ってしまう。 その愚かささえ愛おしいと思ってしまっている。 可愛いと程遠い存在だということは今も見下ろしているのでちゃんと分かっている。 「じゃあ、なんも問題ねえじゃんか。」 あふれ出る感情をどうすることもできなくて、ぎゅうっと百目鬼の頭に抱き着くとそう言った。 だって、セックスをしたいと言ったことは本当なら、これからすることは百目鬼もしたいことなのだから。 だから、何も問題なんかないはずじゃないか。

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