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第1話

白梅(しらうめ)学園高等部にΩの外部生が入学したことは瞬く間に学園内の噂になった 初等部から大学院までエスカレーター式の白梅学園は優秀なαや家柄のあるΩが通う名門である そのため高等部からの外部入学は狭き門であり、Ωが入学することなど初めてのことだったからだ 「…はぁ、」 Ωへのサポートが厚く、就職率が高い高校を探してこの白梅学園への進学を決めたがそれは間違いだったのだろうか 入学式から常に誰かしらの視線を感じ、こそこそと噂話をしている声が聞こえる 初めはΩだから目立っているのかと思っていた しかし、Ωのクラスメイトを見ても特に注目されている様子はない それどころか俺の噂話に加わっていたのでそれは違うようだ 「…やな感じ」 今日も感じる視線にため息を吐きつつ、授業の準備を始め気を紛らわせた チャイムが鳴りだいぶ経つが教室に教師が来ることはなかった 初めは近くの席の友人と駄弁っていたクラスメイトも教師が来ないことを良いことに、ざわざわと落ち着きがなくなってきた 見かねた委員長が立ち上がるのと同時に、ガラリと教室のドアが開く 「悪い、遅れた」 現れたのは普段このクラスで数学を教える山内(やまうち)先生ではなく、長身で爽やかな雰囲気の若い男性教師だった 「あれ、古賀(こが)ちゃんじゃん!うっちゃんは?」 「古賀先生と呼べ、貫井(ぬくい)。山内先生は体調不良で帰られた。プリント頼まれたから、終わった奴から帰っていいぞ」 その人、古賀先生はそう言うと喜ぶクラスメイトを無視してプリントを配り始める プリントを配っていた先生とパチリと目が合うと、全身に痺れるような衝撃が走った 「古賀ちゃん?」 「え、あ、いや」 先生も俺を見て固まっていて、クラスメイトに声を掛けられると慌てて残りのプリントを配っていた 今の感覚は、もしかして

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