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HAPPY HALLOWEEN

「かわいい!写真撮ってもいいですか?」 「すみません、写真は断っているんです」 声をかけてきた女性2人組は残念そうな顔をしながらも康平にお菓子を渡し、頭を撫でると手を振り去って行った 今日はハロウィンと言うこともあり、街中は仮装した人の姿で賑わっていた 元々ハロウィンに疎遠であった俺が、なぜ今回参加しているのかと言うと 「パパ、ハロウィンってやったことある?」 「無いなあ、パパの家はあんまり行事に興味なかったから」 「そっかあ」 口をもごもごさせながらこちらを伺う康平の言いたいことが何となくわかり、先に口を開く 「ハロウィン、参加してみる?」 「…いいの?」 「やりたい事はやった方がいいよ。我慢すると後悔するから」 「!やりたい」 珍しく素直に言葉にできた康平の願いを叶えない訳にはいかず、ハロウィンの1週間前から仮装の準備をして当日街に繰り出したのだった 拓馬さんそっくりの康平は小学生ながらすでに整った顔をしていて、自分で選んだ吸血鬼の仮装がとても似合っていた 康平に合わせて蝙蝠の衣装を着ている双子も珍しく1日ご機嫌でニコニコと笑顔を振りまくお陰で、子ども達はすぐに街ゆく人の注目を集めた 写真を撮りたい、撫でてもいいか、お菓子をあげる、と引っ切り無しに声を掛けられていた 写真は子ども達のプライバシーのため断ったがお菓子は有難く頂いていると、あっという間に康平の持つ鞄がパンパンに膨れ上がっていて驚かされた さすが拓馬さんの子ども、と感心しているとお菓子をたっぷり貰った康平が満足そうな顔をして帰ろう、と言うので家路に着いたのだった 「楽しかった!」 家に帰り、貰ったお菓子をテーブルの上に広げる康平は言葉の通りとても楽しそうで 性格上、普段我慢ばかりしてしまう康平が楽しめたなら良かったと俺も嬉しくなった 「ただいま」 お菓子を食べたそうにしている康平に夕食前だから1つだけ、と約束して夕飯を作っていると玄関が開く音と共に拓馬さんの声が聞こえた 気に入って1日着ていた仮装を拓馬さんにも見せたいのだろう、玄関に走って行った康平の後を双子が付いて行ったのを笑って見送り、4人がリビングに来るのを待った しかし、聞こえてきたのは康平の驚いた声と双子の泣き叫ぶ声 慌てて玄関に向かい、そこで見たのは 驚いた顔で尻もちをつく康平と、その後ろで大泣きする双子 子ども達の前に仁王立ちする、妙にリアルなピエロの被り物をした人物の姿だった 「…何やってるの、拓馬さん」 「穂積が康平がハロウィンをやりたがってるって言ってたから、買ってみたんだ。驚かせすぎたか?」 被り物を脱いだ拓馬さんが不思議そうな顔をして被っていたピエロのお面を見つめるが、双子は泣きやまないし正体が分かり安心したのか康平まで泣き始める始末 「そりゃあ怖いでしょ、夜泣き決定だよ」 俺に縋り付いて泣く子ども達に謝りつつ、近づいた拓馬さんから後ずさる子ども達にショックを受ける拓馬さんを見て、つい笑ってしまった 何事も程々にね

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