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第13話 いやよいやよも、なんとやら?※
「エイ、リ……く、くすぐったい、から……やめろって……!」
「くすぐったいだけには、見えないよ? 兄さん」
耳元で喋るな。囁くな。お前の声、昔から女子がめちゃくちゃ好きそうなタイプのイケボなんだよ。乙女ゲームに出てきそうな良い声なんだよ。
そんな声を俺の耳元で聞かせないでくれ。声フェチでもないのに目覚めそうになるだろ。
耐えろ、耐えろ俺。腰抜けてるから立てないんだよ。だから今は耐えるしかないんだよ。
俺の腰はなんでこんなに弱いんだ!
「耳、弱いんだね。ふふっ。こんなこと、誰かにされたことないんじゃない? 僕が初めてだよね。兄さんの初めて、僕が貰っちゃった」
なんで俺が耳を責められたことないって分かるんだよ。
そりゃ耳舐められたのなんか初体験ですけど。
「ああ……この部屋に兄さんを閉じ込めておきたいなぁ……僕の与えたものだけで兄さんを生かしたいな……兄さんには僕だけ見ててほしいなぁ……」
「そのヤバい思考どうにかしてくれない? マジで引くんですけど」
「仕方ないよ。前世で抑えつけていたものをようやく解放できたんだよ。我慢なんか出来るわけないじゃない?」
「しらねーよ……」
平常心。平常心。心を落ち着かせるんだ。耳を噛まれようと舐められようと気にしちゃ駄目だ。勇者から僧侶にジョブチェンジだ。煩悩を消せ。心で念仏でも唱えよう。一文字も分からないけど。
「……さっき、トイレで出したんだよね?」
「……」
「それなのに、もうこんなになってるの?」
「…………」
「溜まってる?」
うるさいうるさい。それ以上は言わないでください。俺だって思ってますよ。なんで俺こんなに元気なのかなって。
普通、こんな状況で勃ちますか。相手は弟なのに、ちょっと耳を触られただけでこんなになりますかって。
そりゃあ、俺も男の子ですから反応はするかもしれないよ。でも状況を考えたら萎えたっていいんじゃないの。こんなヤバいシチュエーションで興奮するとかって俺の性癖はどうなっちゃったの。
「大丈夫だよ、兄さん。僕が責任取って、気持ちよくさせるからね」
「は、ちょっ!?」
エイリの手が俺のズボンを脱がそうとして、俺は慌てて手を伸ばした。だけどその瞬間に両腕を拘束《バインド》されてしまった。
マズい。さすがのそれ以上は駄目だ。
そんな俺の声も届くことなく、エイリは俺のズボンをパンツと一緒に脱がしてしまった。
エイリの顔も前には俺の勃ち上がったそれが露になってる。恥ずかしい。ヤバい。俺の語彙力も減っていく。
「や、やめろ、エイリ……!」
「はあ……これが、兄さんの……何度も頭の中で想像してた、本物の……」
「っ! や、め……!」
エイリが躊躇いもなく、俺のモノを口に咥えた。
何だこれ。ヤバい。本当に、力が抜けていく。拘束《バインド》を解こうと両手に力を入れようとしても、コイツの口の中が気持ちよすぎて何も出来ない。
俺、昔も彼女と長続きしなかったせいでセックスも片手で足りる程度にしかしてこなかったから、口でなんかしてもらったこともない。
口でされるのって、こんなに気持ちいいのかよ。これが弟じゃなかったら良かったのに。それでもコイツの舌の感触とか裏筋を舐められたりするとマジで全身が震える。
勘弁しろよ。俺は弟にイカされるのか。
「っ、あ……エ、イリ……!」
「ふふ……にい、ひゃん……きもひ、いい?」
「バッ、しゃべ、んな……!」
「ここが、いいんだ?」
先っぽをグリグリと舌で弄られ、俺はもう声にならなかった。
てゆうか、アルトの体ではこういうことは全くの未経験だし。俺は童貞になっちゃってるわけだし。
俺、どうなるんだ。
エイリで童貞捨てるのか。それとも、俺は掘られてしまうのか。どっちなんだ。
「んふふ、兄さんの……大きいね……もう、この世界で兄さんのモノに触れるのは僕だけ……ああ、兄さん……ずっと欲しかった……僕の中に、兄さんが欲しいよ……」
あ、俺は挿れる方なんですね。いや、それでも嫌だよ。なんで俺、弟の処女貰わないといけないの。なんで弟で童貞捨てなきゃいけないんだよ。
でも、エイリの口が気持ちよすぎて、早くイきたいって気持ちが強くなってくる。いけないって思えば思うほど、俺の体は興奮していってる。
痛いくらい、俺のは勃起してる。
いやいや、駄目だ。したいとか思っちゃ駄目だ。アルトの意識に飲まれるな。アルトは確かに弟を溺愛していたけど、性的な目では見てなかっただろ。アルトと俺の意識が混ざったことで変な方向に向かってる気がする。
駄目だ。本当に、これ以上は駄目なんだ。
「兄さん……兄さん……」
「ぅ、あ……!」
エイリの口が俺のモノを吸いこもうとしているみたいに口を動かしてくる。
それ、マジで気持ちいい。
俺はさっき自分で処理した身も関わらず、今度は弟の口の中で達してしまった。
「……っ、はぁ……」
「……んっ。ごちそうさま」
「お、おま!?」
コイツ、俺の出したやつ飲んだのかよ。信じられない。そういうのってエロ本の中でしか有り得ないと思ってたんですけど。
そんなことを思っていると、エイリが服を脱ごうとしてきた。
待て。俺、今出したばかりだよ。さすがにもう無理だって。勘弁してくれって。
「兄さん……まだ、出来るでしょ?」
「ま、待てって! 考え直せよ。俺らは兄弟! 家族! こんなこと許されないの! それは前世でもこの世界でも同じことだろ!」
「関係ないよ、そんなこと。好きか嫌いか、したいかしたくないか、それだけだよ。僕は兄さんが好きで、抱かれたい。それだけのことだよ?」
「俺はお前のことそういう風には思えないし、したくない!」
「その割には、兄さんのはまだ元気だけど?」
そう言ってエイリは俺のモノを軽く握った。
どうして俺って堪え性がないんだろうね。てゆうか、俺ってこんなに元気いっぱいだったっけ。昔もそんな何回もしたことないから分かんない。この世界で俺の体は昔より鍛えられてるから、そのせいなのか!?
だとしても駄目だ。俺は、弟には手を出したくない。
「エ、エイリ!」
「二人ともーちょっと手伝ってくれないー?」
ドアの向こうから母さんの声が聞こえてきた。
その声にエイリは溜息を吐き、拘束《バインド》を解いてくれた。さすがのエイリも母さんには逆らわないんだな。助かった。
俺は急いで下を履いて、安堵の息を吐いた。
「残念。もうちょっとだったのに」
「お前なぁ……マジでこういうこと止めろよ……」
「でも気持ちよかったでしょう?」
「っ……」
「ふふ。先に行ってるね」
エイリは愉快そうな笑顔を浮かべ、部屋を出ていった。
マジで油断できないな、あの魔王。
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