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第22話 前世の俺はこうして死にました
様々なダンジョンを攻略して、各国、色んな国に立ち寄って人々の頼みを聞きながら俺たちは旅を進めていった。
おかげでかなり強くなれたと思うし、その辺の魔物相手なら余裕で勝てる。
そろそろ魔王を倒しに行ってもいい頃合いなんじゃないかな。
「ってわけで、サクッと魔王倒しに行こうぜ」
「魔王城はコンビニじゃないんだよ。そんな放課後に寄っていこうみたいなノリで言わないでよ」
「だって俺ら、充分強くなったろ。もう行けるんじゃないか?」
「……そうかな? もう少し経験積んでからでもいいと思うけど」
「そんなモタモタして元の世界に帰ったら何十年も経ってましたーって展開になったらどうするんだよ! 向こうとこっちの世界で時間の流れが同じとは限らないだろ」
「それは、そうだけど……これは命に関わることなんだよ。もっと慎重になるべきだ」
確かにそうだけど、もうその辺の魔物相手じゃ大して経験値積めないぞ。武器や防具だってもうこれ以上ないくらい強いもの装備してるし、高藤だって最強呪文を覚えてる。他に何をすればいいんだよ。
「大丈夫だって! 俺ならそんな簡単にはやられたりしないし、お前のことだって全力で守るからさ!」
「…………君がそういうなら、止めないけど……危険だと思ったら直ぐ逃げるんだよ」
「分かってるって。ここで死んだら元も子もないもんな」
俺は少し焦っていたのかもしれない。
早く帰らないと。こんなところにずっといたくない。
高藤を早く家に帰してやらないと。そんな正義感が働いて、無謀な挑戦をしてしまった。
その結果が、あのザマだ。
「白瀬!!」
「が、は……」
魔王に胸を貫かれ、俺はもう駄目だと思った。
高藤の言うことをちゃんと聞いていけばよかった。このままじゃ高藤まで殺されてしまう。それだけは嫌だ。
そう思った俺は、最後の力を振り絞って剣を魔王に突き刺した。
せめて、せめて高藤だけでも元の世界に帰そう。こんな無茶に付き合わせてしまった償いに。
そこから先のことは、もう覚えてない。
ただ暗闇の中で声が聞こえていたような気がした。
「…………駄目だよ、白瀬。僕は君のいない世界になんか興味ない。そんな世界で生きていたって意味がないんだ。だから、ずっと一緒にいよう。その為なら、どんな手を使っても構わない……」
そうか。今なら分かる。あの声は、お前だったのか。
ゴメン。お前を一人にさせて。だけど、さすがに手段を選ばなさすぎじゃないのか。
「大好きだよ……シュンくん」
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