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第1話

 雀がチュンチュンと鳴き、気持ちよく朝日が差し込むカーテンの窓辺の下で。 「うーん……」  朝起きた後、俺は自分の股間に向かって睨み合いをしている――ここ一週間ほど、ずっとだ。  ズキズキと疼く俺のそこは、はちきれんばかりにエレクトしている。  いわゆる、朝勃ちというやつである。 「……困ったなあ……」  俺は溜め息を吐く。  俺は決して、男としての辛い忍耐をそこに課しているわけじゃないのだ。俺は、昨晩もそこに溜まったものを外に開放してやった。その前の晩もだ。何なら、その前もその前々も。  それでも朝、こうして起きればギンギンに勃起している。  前からこういう訳ではないのだ。十代の頃は仕方がなかったとして、二十代前半の働き始めた頃から徐々に勃起しない日を間に挟むようになった。  そして、妻と結婚した頃は性欲が満たされ――子どもが出来ると睡眠不足な日もあり、勃起しない日が増えた。  妻が亡くなった時には、一時的にEDになったと今では思う。  それが、ここへ来て完全復活を遂げてしまったのである。  全く男の股間は神秘だとしか言いようがない。 「はあ……」  溜め息や唸り声ばかり上げていても仕方がない。枕元の時計を見ればもう6時。朝早い息子がもう少ししたら目を覚ましてしまう。  しかも、放って置いてどうにかなる勃ち具合ではない。  抜くしかない。俺はそう頷くと、寝間着の股間を露出し、同じく枕元からティッシュを数枚抜いた。  ひんやりとした手を熱い股間に這わせる。そして、ゆっくりと(しご)き出す。  初めはゆっくりと。そしてだんだんと速く。 (う、く……)  俺のものはぐんぐんと最終形態に形を変え、熱くなった。色は赤みが増し、天辺から透明な液が伝い始める。  液がぴちゃぴちゃと音を立て始め、せり上がる興奮で俺は息を弾ませ始めた。 (……有季、くん……)  俺は一人の男の姿を思い浮かべる。  そうなのだ、興奮の元はそこなのである。  先日出会ったばかりの、有季という男の子のせいでこの体たらくなのだ。  有季のことを思い出すだけで、俺の股間はエレクトしている。 「――うっ……、くぅっ……っあ…………!」  彼の俺を見詰める顔を思い出したのだが……ちなみにその熱っぽい表情の、下のTシャツをたくし上げるところを想像したら、股間が余計に()れてしまった。  それから、彼の下半身も裸にして――俺のこの棒のようになった物を一気に差し込むところを想像したら……俺はひとたまりもなく頂点を超えてしまった。 「ああっ……くっ……」  びゅく、びゅくと液が有季の中に――いや、柔らかいティッシュの中に飛び出していった。  全く、昨日も出したというのにどうしてこんなに出るというのか。  こんなに作られるお年頃は過ぎたのだと思うのだが。 「はあ……数年溜まってた分が、今出てるのかな」  そんなわけはない。俺は馬鹿なことを考えるのを止めて、ようやく落ち着いた股間とともにベッドから降りたのだった。  朝ごはんを作らなくてはならない。

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