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Touched on the past ⑨ ★
分かった、と答えた黒埼の愛撫が再開される。黒埼の手がそっと晃良の脇を撫でた。びくっと体が反応して、熱を持っていく。
「ん……」
首筋をキスと舌で攻めながら、黒埼の右手が晃良の上半身を自分勝手に這い回る。その感触が心地よくて、晃良はその感触に神経を集中させた。黒埼の左手がゆっくりと晃良の体を浴衣の上から下へと這っていき、浴衣の裾を押し広げた。そのまま左手を侵入させて晃良の内ももを優しく撫でる。ぞわっとした感覚が晃良を襲って、思わず息が漏れた。
「は……あ……」
「アキちゃん」
名前を呼ばれて、顔を振り向かせる。そのタイミングで黒埼の唇が晃良の唇に重なった。お互い押し返すように唇を何度か重ねた後、自然と舌が絡み合った。
「ん……」
舌の動きが段々と激しくなる中、黒埼の左手が下着の中へ入っていき、ぐっと晃良の自身を掴んだ。指先で先端をなぞりながらゆったりとした動きで扱き始める。
「んんっ……う…ん……んっ」
晃良の喘ぎ声が黒埼の口の奥へと吸い込まれていく。苦しくて唇を離して息つぎをしようと思うのだが、どうしても黒埼の舌から離れることができなかった。不思議な感覚だった。離れたら。そこで何かを失うようで。
その間も容赦なく黒埼の愛撫は続いた。手での抽送が段々と早くなっていく。その動きに合わせて晃良の腰も疼いた。震えるほどの快感が晃良の中を駆け巡った。こんな快感は初めてだった。最初にホテルで黒埼にされた愛撫よりも強い。挿れられてもいないのに、まるであの敏感な部分を揺さぶられるのに似た快感。
もう、イきそう。
そう思った途端、その気持ちを読んだかのように、黒埼が更に手の動きを早めた。同時に胸の突起も激しく弄くられた。キスを続けたまま、晃良は絶頂を迎えた。
「んっ、んっ、んっ、んんっ!」
『アキ』
はっと目を見開いた。
イく瞬間。はっきりと声が聞こえた。頭の中で。黒埼に似た少年が切なそうに晃良を呼ぶ顔も。ぐわっと何かが押し寄せる。その何かに流されるまま、晃良は繋がっている黒埼の唇に噛みつくように強く唇を押しつけた。右手で黒埼の髪を後ろ手に乱暴に掴む。びくびくと体が震える間、そのままの状態でいた。
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