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Out of control ⑮

 晃良の携帯が鳴った。すぐに応答する。 「分かったか?」 『晃良くん? 港区方面に向かってる』 「分かった」 『たぶんだけど、どっか貸倉庫かなんか行くんじゃないかな。そいつらの目的ってあれだよね?』 「ん……。例の国家機密の件だろうな」 『その情報が欲しいんだから、黒埼くんに下手に手は出さないはずだよね』 「そうかもしれないけど……。ある程度の拷問は受ける可能性はあるだろ。相手は黒埼に口を割らせたいわけだし」 『……そうだね……』 「とりあえず、動きが止まったら正確な位置を教えてくれるか」 『うん』  電話を切った時には、涼はすでに港区へと車を向かわせていた。休み中なので武器になるようなものは何も持っていなかった。相手が銃などを所持していた場合、かなり不利になるだろう。その心を読んだかのように、涼が口を開いた。 「晃良くん、後ろに銃ある」 「は?? ダメだろーが。銃刀法違反になるぞ」 「ちゃんと隠してあるし。見つかんなかったらいいじゃん」 「ほんとにお前は……」  日本では銃は違法だと言いつつも手に入らないわけではない。ちゃんとそれなりの裏道があって、自分たちもある程度それを把握していたりするのだ。  港区へと差し掛かった頃、再び携帯が鳴った。 「尚人?」 『うん。場所特定できた。やっぱり貸倉庫。今、マップ送るから』 「分かった。ありがとうな」 『2人で大丈夫? 応援要る?』 「いや、大丈夫だと思う。相手は2人とか多くて5人ぐらいだと思うし。もし30分以内に折り返しがなかったら、応援頼む」 『分かった……。気をつけて』 「ん」  尚人が送ってきてくれたマップで位置を確認する。それらしき倉庫が見えてきた。目の前に例のバンが停まっているのが見えた。  少し離れたところに駐車して、車を降りる。後ろに回り、涼の隠してあった武器を確認する。涼の隠し銃は1丁どころか種類の違うものが10丁くらいあった。目だけで涼を(とが)めてから、その中のシグザウエルP226と呼ばれる自動拳銃を選んだ。コンディションを確認してからジーンズの後ろに差し込む。涼も同じように準備が整ったところで、ゆっくりと倉庫へと近付いていった。  倉庫の周りも念入りに調べる。正面の扉以外、出入り口はなかった。窓も高くに位置しており、そこから侵入するのも無理そうだ。ならば、正面から行くしかない。正面へと戻ってきて、扉を慎重に調べると。鍵はかかっていて扉は開かないが、ドアの下がもともと1cmほど隙間のある構造のようだった。 「涼」 「車にある」  そう言って涼が一旦車に戻ってすぐに帰ってきた。手渡されたスネークカメラを注意深くドアの隙間へ差し込んで中を確認する。角度を色々と変えていくと。  ん?  何か人影のようなものが地面に倒れているように見えた。晃良の鼓動が早くなる。  まさか。  頭の中が真っ白になった。それでも、周りにまだ潜んでいるであろう男たちの位置を確認しようと更にカメラを近づけると。  あれ?  そのスクリーンに現れた画像を涼と見つめる。ぼそっと涼が呟いた。 「あの人……凄ぇな」

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