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Out of control ⑯
晃良はスネークカメラを引き抜いた。立ち上がって、ドアを銃で開けようとしたが、半分腐ったような鍵だったのでそのまま思いっきり蹴破った。派手な音を立ててドアが開く。涼と2人で警戒することなくさっさと中に入った。
「アキちゃん。来てくれたんだぁ」
拘束されていたであろう椅子の上に座って、嬉しそうな笑顔で黒埼がこちらを見た。その足下には晃良がショッピングセンターですれ違った男2人組と更に5人の男たちが倒れていた。
「……来る必要もなかったな」
「そんなことないって。アキちゃんが来てくれたことに意味があるから」
「なんで?」
「だって、愛を確かめる日だから」
「……どういう意味?」
「え? バレンタインデーじゃん」
「……ちょっと待て」
うわっ、この人ヤバっ、と後ろで涼が呟くのが分かった。
「どういうことだ」
「何が?」
「もしかしてお前……これ、仕組んだんじゃねぇだろうな」
「は?? 違うって。利用はさせてもらったけど」
「……説明しろ」
何の悪気もなさそうなきょとんとした顔をして、黒埼が晃良に説明した。
「だから、俺のためにアキちゃんが危険を顧みずに助けに来てくれたから。それが、愛の証しになるじゃん?」
「それを確かめたかったとか言わねぇだろうな」
「え? そうだけど」
「…………」
「アキちゃん来てくれるまではって我慢してたんだけど。ほんとにこいつら、あーでもないこーでもない煩いし、ムカつくし、やっちゃった」
そう言って、黒埼が椅子から立ち上がって男たちの1人をつま先でつついた。
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