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Ready to fight ⑫

「ごめんな、晃良くん」  涼が振り向いて晃良に話しかけてきた。 「そんなの、いいけど。それより大丈夫か?」 「……うん、俺は大丈夫だから」 「そうか……」  冷静を装ってはいるが。涼の表情は今起きたことへと動揺が隠しきれていなかった。 「涼……。お前の父親、居場所知らなかったんだろ?」 「ん……もう、20年ぐらい会ってなかったからな……」 そこではっとした顔をして涼が顔を上げた。 「あいつ……妹んとこに行ったかも」  そう言って涼が慌てて携帯を取り出すと、電話をかけ始めた。涼には少し歳の離れた妹が1人いた。妹はすでに結婚して子供もおり、埼玉で幸せに暮らしているそうだが、涼の居場所を知ったということは、妹の居場所も掴んだ可能性はある。 「出ねえ」  苛々した様子で涼が呟く。留守番電話に簡単に事情を説明して折り返すように伝言を残して電話を切った。落ち着かない様子の涼に、晃良は声をかけた。 「涼。ちょっと、近くでなんか飲まねえ?」 「え? だけど……」  涼がトレーニングウェア姿の晃良の格好をじっと見た。 「トレーニング行こうかと思ったんだけど。寒いし、温かいもの飲みたくなったから。ほら、行こうぜ」 「うん……」  納得がいかない顔をしつつも大人しく涼は付いてきた。自宅で飲んでもいいのだが、尚人がまだいるし、晃良と2人きりの方が涼も話しやすいのではと思ったのだ。

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