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No matter what ③
スーパーの駐車場に車を停めた。夕飯の買い出しをする主婦たちに混ざって買い物を済ませる。しらたきのついでに、高級すき焼き肉もついつい買ってしまった。きっと尚人も十分用意しているとは思うが、涼もいるだろうし、肉はいくらあっても困らないだろう。
尚人の手料理は久しぶりだな、と楽しみにしながらスーパーを出て車へと向かう。
ん?
ふと、視線を感じて立ち止まった。さりげなく駐車場を見渡すが、特に変わった様子もない。
一体、誰だよ。
ここ最近。ふとした時に視線を感じるようになった。誰かが自分を遠巻きに見ているような気配。最初は黒崎ではないかと疑っていたのだが、本人に確認を取ったら否定された。まあ、アメリカ在住だし、晃良に存在を知られてからは以前のようなストーカー行為をする必要もなくなったし、遠巻きに見る必要もないので(堂々と勝手に家に入るくらいだし)、確かに黒崎ではないのだろう。黒崎が嘘をつく理由もなかった。
ならば誰だろう。晃良には全く身に覚えがなかった。視線を感じる度に探ってみるのだが、いつも他人の気配にうまくまぎれて特定することができない。今のところ、視線のみで被害を受けているわけでもないので放っているのだが、誰かに見られていると思うとやはり気味悪かった。
仕事柄、逆恨みなどを受ける可能性もあるし。とりあえずはなるべく人気のないところは避けて気をつけねばならない。
晃良は車に異常がないかどうかも確認してから運転席に乗り込んだ。エンジンをかけて、その視線を振り切りように家路へと急いだ。
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