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第54話 ユアside愛するリオン様

組み手の授業がキッカケであんな事になるなんて、誰が知っていただろう。 華奢なリオン様が次々と相手をスルリと組み伏せていくのを見てるのは、なかなかに痛快だった。 アーサー達は鬼ごっこの星とリオン様を呼んで揶揄っていたけれど、鬼ごっこで手こずらされた僕らにとってはあの日々が今日のためにあったんじゃ無いかと思えるほどだ。 最終的にリオン様が決勝に残ったのを見届けた僕は、何が何でも自分が決勝へ進まなくてはと決意した。 これ以上他の奴にリオン様を触れさせたくなかった事もあるし、何と言っても相手はケミカリム辺境伯のジュード。 爵位は僕と変わらないし、リオン様の好きなタイプなのは間違いない。 リオン様は強い男が大好物なのだ。それなら僕もそうならなくては。 案の定僕とジュードの試合はほぼ互角だった。最後の方は気力とリオン様への愛の力だけで勝った気がする…。 しかもジュードは負けたくせにリオン様をぎゅっと抱きしめたりして…、リオン様もほんと隙がありすぎなんだ。 でもそれだけジュードには気を許してるって事で、それはそれでモヤモヤする。 リオン様との試合はやはりというか、皆の様にリオン様の色気に気を取られて、ふいをつかれて決着がついた。 だけどまさか僕の竿が踏まれるとは思わなかった。 痛かったけれど、それが怪我の功名になるとは僕にも予想できなかったし。 寮の部屋ではいつも無防備に色気を振りまくリオン様に、僕は振り回されていた。 今日は何だか試合での高揚感も手伝って、自分でも思いがけない行動にでてしまったと思う。 きっとそれまでに色々我慢しすぎたせいかも知れないし。 リオン様に踏んだところは大丈夫かと聞かれたとき、僕は恥ずかしさを上回る打算が働いたのは間違いない。 これはチャンスではないかと。 僕はピクニック以来、可愛いリオン様に焦がれている。 嫌われたくなくていつも紳士に振る舞っているけれど、僕の中ではいつでもリオン様を口づけて、体中を舐め回して愛したい気持ちでいっぱいなんだ。 案の定悪魔なリオン様はとんでもない解決法を導き出して、僕に口づけてくれた。僕は積極的なリオン様の口づけに夢中になってしまった。 急に進むあれこれに怖くなって僕はリオン様に思いの丈を告白してしまった。 リオン様は少し考えて同じように答えてくれたばかりか、僕の昂りを撫で摩って射精までさせてくれた。 リオン様はご自身のお兄様であるリュード様が大好きだ。 あの二人を見ていると焦燥感が湧くほどに愛し合ってるという気がする。 でも、今はリュード様は彼の地に居て、リオン様の側にいるのは僕だ。 僕は快楽に弱い可愛いリオン様を、どんな手を使っても手に入れる気でいる。僕たちにはまだ時間がある。

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