55 / 124

第55話 学院合同演習あるんだってさ

そんなこんなで学院生活に慣れてきた初夏、僕たちは泊まりの学院合同演習に参加する事になった。 この演習はまぁピクニックのハード版だ。 貴族学院は女生徒も男子学生の三分の一ぐらい在籍してるんだけど、案外一緒に受ける授業が少なくて何かと男女別になる。 今回も男子学生のみの演習だ。まぁ。体力が違いすぎるからね。 僕は一応男子の中では華奢で頼りない方に分類されるんだけど、何たって組み手の決勝まで行った人間だし?鬼ごっこの星だし?ふふ。 今回、楽しみにしてるのは学年入り乱れての演習だって事。ちょっと緊張するけど、楽しみだなぁ。 さっそく実行委員の班分け表に従って顔合わせにホールに出向く僕たち。 えーと僕は組み手の最初に当たったリチャード君と眼鏡っ子キース。 そうそう学院の式たりで入学して二か月経ったら、様付けをやめるというのがある。 僕も知らなかったのだけど、より親睦を深めるためらしいよ。クラスメイトだしね。 でも竹馬の友であるユアたちを、様無しで呼ぶのはかえって時間が掛かったなぁ。 小さい頃からずっと様付けで呼んでたから、もうそれが名前の一部になってて。 しかもお互いに呼びかけるときに慣れなくて恥ずかしい感じになっちゃって。 しばらく、僕らは名前呼ぶたびに顔が赤くなってたかもしれないね。 まぁ、クラスメイトが僕を呼ぶときは様付きの時も赤い顔の生徒が多かったけれども…。 僕ってそんなに恥ずかしい存在なの⁉︎ 僕とリチャード、キースはチーム13班。リーダーはリッチー先輩。お兄様の親友、ヘンリック様の弟君だ。 知った顔がいて安心したよ。アーサーやユアとは離れちゃった。 でも一緒じゃなくて良かったと思ってる。キースがホッとしてるんだもん。 だって最近のユアは僕に甘々過ぎて、アーサーやキースが場所を選べってユアに説教しまくり。 膝に乗せられたり、髪に口づけられたり、手を繋がれたりなんてのは、僕は全然気にならないけどね。 アーサー達曰くクラスメイトの目に毒らしい。目に毒って…やっぱり僕って皆を困らせてるっぽいね? 演習は学院の広大な敷地にある湖のそばまで行って野営するんだって。 今は平和で戦争のせの字もないけれど、いざとなったら僕ら貴族が先頭切って指揮を取るらしいじゃない? 僕がそんなこと出来るとは全く思えないけれど…。お兄様やヘンリック様には出来そう~。 とにかくまぁ訓練を兼ねた遠出なのか?うん、何だかワクワクしてきたよ、ふふ。

ともだちにシェアしよう!